ビットコインの下落に伴い、アルトコインも全体的な下降トレンドに入っている。
チャートの下降線が示すように業界全体的に良くないニュースが多かったが、いくつか期待できそうな内容もあった。今回は、先週の出来事のうちポジティブ・ネガティブ両方で目立ったものを紹介していきたい。
トピック:仮想通貨取引所Liquidが不正アクセスを受け情報流出
国内の仮想通貨取引所Liquidが不正アクセスを受け、個人情報の流出が発生してしまっている。
去年の11月から報告されてきた本件だが、今回の第3報ではどのような情報が流出したのか、何件流出したのかを発表している。
発表によると流出したのは顧客の「電子メールアドレス、氏名、暗号化されたパスワード、 APIキーなど169,782件」とのことだ。
特に注意しなければならないのは、この情報の中でも「2018年10月までに本人確認プロセスのために提供されたお客様の身分証、セルフィー画像、住居証明等の本人確認書類28639件」だ。
これらは近年個人情報の確認のために使われている主流な情報のセットである。現在まだ悪用の報告はされていないが、十分注意しなければならない。
悪用されるリスクを防ぐために、既存情報の変更や停止、他の仮想通貨取引所での二段階認証を必ず行なっておくようにしておこう。
トピック:コインチェック仮想通貨不正取得事件関連で30人を検挙
2018年1月、当時の価格で約580億円分のXEM(ネム)コインが流出した事件、コインチェック仮想通貨不正取得事件関連で、30人が検挙されていることが分かった。
今回の検挙では、不正に取得されダークウェブ上でハッキング事件に関連したXEMであると知りながら、他の通貨と交換したとして、交換したとしているビットコインや、XEMに大して東京地裁が没収保全命令を下している。
なお首謀者はまだ現在も不特定。ネムを管理しているネム財団は、ダークウェブによってすでに大量のネムが換金されてしまっていることを理由に調査の打ち切りを発表しているが、警視庁と一部のホワイトハッカーによって現在も調査は継続されているようだ。
ピック:Jリーグの湘南ベルマーレがトークンで資金調達、国内プロスポーツで初めて
jリーグプロサッカークラブの湘南ベルマーレが、クラブトークンを発行してそれらを販売し、資金調達をするという新たな取り組みを始めている。
クラブトークンの名前は「湘南ベルマーレトークン」だ。
トークンは他の仮想通貨と同じように売買取引に応じて価格が変動し、トークンを保有している人が増加すれば価格は上昇する。トークンを通じてクラブを支援する新しい形を試みようとしている。
トークンを保有する人には、クラブチームが行う投票企画への参加権であったり、限定イベントや限定グッズの応募に参加することができる権利を得られたりするようだ。今のところ発表されているものとしては、試合前のウォーミングアップの観戦権や、 MVP選手の決定権などが発表されている。
海外では既にこういった動きが盛んで、欧州のプロスポーツチームを中心に、既存のブロックチェーンも利用してファントークンを発行し資金調達をするケースが増えてきているが国内は今回が初だ。
後々これらのトークンがE-Sportsなどにも展開されていくことを視野に入れているのだとすると、サッカー好きに限らず、発行された今購入しておくのも投資先としては一つ悪くないのかもしれない。
先週のまとめと考察
先週はビットコインの下落によって、全体的にあまり良いニュースが見られない一週間だった。
ただ、アルトコイン界隈では独自のファントークンなどの新しい試みが始まっている。 今後、これまでの仮想通貨取引所とは異なった、湘南ベルマーレのファントークンのような明確な目的と対象を持ったコインのみを取り扱うようなプラットフォームが出てきてもおかしくない。その可能性にまで目を向けると、DeFiに続いて少しずつアルトコインの役割や立場が変わってきているのではと感じさせる一週間でもあったように思う。
小さなプロジェクトのなかにも、ただ投機先としての魅力ではなく今後の業界の潮流を変えていくような好案件があるかもしれない。アルトコインについては、引き続き広く情報をチェックしていきたい。