今回のBTC週報では、仮想通貨取引所バイナンスの英国当局からの警告、イーロンマスク氏のジャック・ドーシー氏とのイベント登壇、さらにエルサルバドルでのビットコイン配布などのニュースをピックアップした。
先週のBTCチャート(6月21日~6月27日)
こちらが先週のビットコインチャートだ。大きな変動はなかったものの、依然として360万円前後を推移しており盛り上がりに欠ける相場となった。
トピック: 仮想通貨取引所バイナンス、英国の規制当局から警告を受ける
世界最大級の仮想通貨取引所バイナンスが、英国で必要な許可を取らずに活動しているとして、英国の金融規制当局である金融行動監視機構(FCA)が26日、同社に警告した。
バイナンスは日本の金融庁からも登録なしで活動しているとして、25日に警告を受けている。
FCAは警告の中で、以下のように注意を呼びかけている。
「仮想通貨への投資を宣伝している企業の多くはFCAの認可を受けていない。つまり、ある仮想通貨に投資して損失を受けたとしても、金融オンブズマン・サービスや金融サービス補償制度を利用できないということだ」
FCAは2021年1月には、先物契約やオプション含むデリバティブ取引を禁止している。加えて有価証券とみなされるデジタル資産もFCAの管轄下にある。
これに対しバイナンスは、「FCAの通知はバイナンスが提供する全てのサービスに直接影響を与えるものではない」としている。
トピック: イーロンマスク氏、TwitterCEOとビットコインイベントに登壇
テスラ社CEOで現在はドージコイン支持者であるイーロンマスク氏が、7月下旬に開催予定のビットコインに関する機関投資家向けイベントで講演することが分かった。
マスク氏はTwitterCEOであるジャック・ドーシー氏とのツイートでのやり取りで、今回のイベント「The ₿ Word」に出演することを明らかにした。
このイベントに登壇するのはジャック・ドーシー氏の他に、ビットコイン開発を専門とする非営利団体Brinkのジョン・ニューベリー氏や元CIA副長官のマイケル・モレル氏などだ。
このイベントのテーマは「ビットコインに関するメインストリームのナラティブに反論する」ことだという。
今年3月にイーロンマスク氏が経営するテスラ社が15億ドル相当のビットコインを購入するも、5月にはビットコイン売却を明らかにしている。さらに電気自動車の支払い方法としてビットコインを受け入れると発表したにもかかわらず、環境負荷を懸念して撤回している。
今回マスク氏がビットコインのテーマにしたイベントに登壇することで、どのような影響を与えるのかは分からないが、彼の発言などに注目が集まることは間違いない。
トピック: エルサルバドル、全ての成人に30ドル分のビットコインをエアドロップと発表
ビットコインが法定通貨として認められたエルサルバドル共和国では、政府が市民に30ドル相当のビットコインをエアドロップすると発表した。
一部の人々の間では、エルサルバドル政府がエアドロップのためのビットコインを購入する必要があるため、市場に1億ドルを超える買い圧力が起こると推測している。
ヤフーファイナンスのザック・グズマン氏は、エルサルバドルの成人人口は650万人だと指摘。1人30ドルとすると、1億9500万ドル分のビットコインがエアドロップされることになると主張している。
現地メディアのPrensa Latinaは、市民は政府発行の仮想通貨ウォレットアプリをダウンロードした後にビットコインを受け取れると説明している。
またブケレ大統領は、ビットコインを法定通貨とするビットコイン法を9月7日から施行すると語っている。
まとめ:バイナンスの今後は如何に?
先週は、大手仮想通貨取引所バイナンスが英国や日本から警告を受けたり、イーロンマスク氏がTwitterCEOとイベントに登壇することが明らかになったりと、ビットコイン界隈の外野で投資家心理に影響しそうな気になるニュースが報じられた。
イーロンマスク氏の発言の影響については今さら言う必要もないが、世界最大手の取引所であるバイナンスが警告を受けたことは、使用者に少なからずネガティブな印象を与えるだろう。今後実際に規制されて完全に使えなくなれば、いま使用している投資家の資金が引き上げられることになり、業界全体の冷え込みにつながりかねない。
エルサルバドルでのエアドロップについては、投資家など相場参加者の間では支持されているが、世界銀行などは反対の姿勢を貫いている。いずれも、今後の動きを注意して見守りたい。