仮想空間にはリアルの人間が入ることはできない。
このため、自分の代わりに行動してくれるデジタル人形が必要だ。
それが、アバターである。
メタバースと呼ばれる様々な仮想空間プラットフォームが増えていく中、その世界を謳歌すべく作成されるアバターもまた注目を集めている。
今回はメタバース内での自分の分身となるアバターについて、国内の取り組みとともにNFTアバターが創り出す未来を考察していく。
アバターを通して労働するメタバースオフィス「RISA」の取り組み
株式会社OPSIONが提供するメタバース「RISA」は、仮想空間内で働くことができるメタバースオフィスだ。
オフィスとは言っても、メタバース内でのリモートワークはもちろんのこと、オンライン講習会やイベントを実施できる。
メタバースオフィスで利用されるのももちろんアバターだ。
今回同社は、このアバターをNFT化して販売することを発表した。
アバターをNFT化して売買するからこそ、「RISA」は本来の目的を達成することができる。
このメタバースオフィスでは、タスクをこなすたびにNFTアイテムが付与されるようになる。
そのNFTアイテムを売ることによってプレイヤーはトークンを得られるしくみだ。
つまり、実際の仕事がゲームのような面白みを持つようになるのである。
リアルのわたしがNFTを着る、アバター試着システム「ALT SKIN」
Dentsu Lab Tokyoが発表した「ALT SKIN」は、リアルとメタバースをNFTでつなぐ画期的なシステムだ。
人を丸ごと映すことができるパネルと、タッチデバイスを使ってオリジナルアバターを作成し、しかもその上にNFT化されたたくさんのデジタル衣装を身にまとうことができる試着システムだ。
リアルの自分が動きを加えるとパネルのアバターもその動きを反映する。
試着したデジタル衣装はNFTとして購入が可能となっており、メタバースで利用することが可能だ。
このシステムを使って、リアルのわたしたちがデジタル世界の自分を着飾ることができるというわけだ。
一人に一体、アバターを所有する時代へ
メタバースのイメージは、これまでの歴史を踏まえると「ゲーム」などのエンターテインメント領域へ寄っていた。
しかしこのイメージはもう古いものになっており、今では「リアル」にどんどん近づいている。
「RISA」のようなメタバースオフィスの話も珍しくなく、メタバース内でアバターを通して働けるプラットフォームは続々と誕生しているのだ。
それだけではなく、実際の商店でアバターを通して接客をするなど、活用方法は多岐に渡る。
このように、メタバースはリアルにどんどん近寄っている。
そして、その間をつなぐのがアバターだ。
いずれ、公的な手続きなども含めて様々な活動がアバターを通して行われるようになるだろう。それは唯一性を証明するためにあるようなNFTだからこそ、成せる業だ。
わたしをわたし本人と紐づけるNFTアバターを着て生活をする未来は、そう遠からずやってくるのだ。