ついに、今週15日に実施予定のイーサリアム大型アップデート「Marge（マージ）」まで秒読みとなった。多くの仮想通貨ユーザーの注目を一身に受けているところだろう。
今回は、マージを控えて既に発生している2つの影響について紹介すると共に、テラショックで話題となったLUNAの返り咲きについて触れていく。
トピック：Margeを控えてイーサリアムクラシックが大幅上昇
イーサリアムはかつて、ハードフォークと呼ばれるチェーンの分岐を行ったことがある。これによって、誕生したのが現在のイーサリアムだ。そしてフォークのきっかけとなった事件の影響を受けたまま存在し続けるのが、旧イーサリアムであるイーサリアムクラシック（ETC）である。
マージを目前に控えたタイミングで、イーサリアムクラシックは20％ほど価格上昇を見せており、注目を浴びている。
マージによって現イーサリアムは、コンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへと変わる。このため、イーサリアムマイニングに寄与するマイナーたちは、PoWを継続するイーサリアムクラシックに注目しているのだ。
なぜなら、新たにマイニングできる通貨を探して移住する必要があるからだ。これが、今回イーサリアムクラシックの上昇率の要因となっていると考えられる。
マージ後、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムが変わると、何が起こるのか。
現在、ビットコインを中心に仮想通貨の価格変動は相互に影響しあっていることは明らかだ。イーサリアムはマージによってこの状況から抜け出す可能性が高く、ステーキングによる独自の価格変動が起こることが予想されている。マイニングとステーキングでは、報酬の発生の仕方が大きく変わるため、価格変動にも影響を及ぼすことになる。
さらに多大な電力消費を要するマイニングと比べると、ステーキングはエネルギー消費量が99％消費するといわれており、これまで渇望されていたエコなブロックチェーンを体現することとなる。このため、環境要因によって参入してこなかった投資家たちの流入も予想されるのだ。
このようにイーサリアムを取り巻く環境は、マージによって大きく変わる。この大型アップデートは、イーサリアムだけでなく、ビットコインを含む他の仮想通貨にも多大な影響を与えることになるのは、間違いない。
トピック：ETHPOWが上場時比80％の下落
ETHPOWは、先物取引で扱われる銘柄だ。イーサリアムがマージによって分岐した場合、イーサリアムPoW版とPoS版が存在することとなる。ETHPOWは、そうなった時のPoW版のイーサリアムのことで、今はまだ存在しない通貨となる。
イーサリアムマイナーたちが、イーサリアムクラシックを始めとする他のPoWチェーンを求める中で、現イーサリアムが分岐によって残るとなれば、これほど助かることはない。つまりイーサリアムマイナーたちは大きな期待を寄せて、ETHPOWに手を付けていたのだ。
しかし蓋を開けてみると、上場時の注目度に比べて現在は80％まで価格が下落。ETHPOWへの期待感の薄れは、ハードフォークの可能性が極めて低くなったことの顕れであるとの見方もある。
ハードフォークの有無によっても大きく左右されるイーサリアム。マージによってどのように変化するかは、15日を迎えてみないと誰もわからないだろう。
トピック：ビットコインの大幅下落の要因となったテラ（LUNA）、リニューアル版LUNCが204％上昇
ビットコインをはじめとする仮想通貨の大幅下落を引き起こした要因の一つに、テラショックがある。当時価格の99％を失ったといわれるほど大暴落を見せたテラだったが、リニューアルしたTerra Luna Classic（LUNC）を発行。その後、同通貨のバーニングトークンサポートの発表をきっかけに、24時間で204％の上昇を見せることとなった。
これによりテラ界隈は再び息を吹き返しつつある。誰もがあの大暴落を見て、テラはもうダメだと思ったに違いない。しかし、たった3か月余りでその状況から今回の結果を生み出すことができたという事実には、目を背けることができない。テラショック当時とは違った視線が、集まることとなるだろう。
先週のまとめと今後の見通しの考察
15日に実施予定のイーサリアム大型アップデート「Marge」。市場はそわそわと落ち着かない様子を見せている。忘れてはいけないのは、イーサリアムアップデートはいつもスケジュール通り進まないということだ。もしかしたら15日、Margeが実行されない可能性も視野に入れておくべきだろう。
どちらにせよ、大きな変革までカウントダウンが始まっている。