ビットコインが最高値を更新して仮想通貨界隈がにぎやかになっているなかで、アルトコイン方面はややネガティブなニュースが続いている。
今回取り上げているトピックのうち二つが訴訟関係モノだ。特に一つは、前回記事でも取り上げていたリップル急落の原因にもなっている。
どのようなことがあったのか、それぞれ詳しく見ていこう。
トピック:SEC訴訟を受け、XRP価格が2日間で21%下落
こちらは先週の情報ではなく今週のホットな最新ニュースになるが、米証券取引委員会SECがリップルを証券取引法違反で提訴した。
これを受けXRP価格は急落、仮想通貨取引所コインベースでは21日から2日間で21パーセントもの下落があった。
先日、訴訟内容の詳細が確認できるようになったのだが、なんと今回SECが訴訟している内容とは、2013年から約7年間にわたってSECへの有価証券登録を行っていない暗号資産としてXRPを販売し、1300億円を超える資金を調達したとされているようだ。
リップル社はこれに対して真っ向から挑む、と一切譲らない姿勢を示している。
仮想通貨弁護士などの見解によると、リップル社がもしこの訴訟に敗訴した場合、「最悪ではないものの極めて最悪に近い状況になってしまう」と述べている。
もしXRPが有価証券と判断された場合、XRPは米国におけるトランザクションでほぼ利用できなくなる可能性が高まる。
本当に最悪のケースの場合は、 仮想通貨取引所からの上場廃止もあり得るだろう。
その最悪のリスクを想定してか、XRPの換金が相次いで大きな下落が引き起こされたわけだが、リップルは現在すでに世界第4位の時価総額を持っている。そのため、この問題の影響は市場全体に及ぶだろう。
引き続き注目していきたいところだ。
トピック:フェイスブックの仮想通貨の名称変更、新名称「Diem」で訴訟リスク高まるか?
Facebookが開発中の仮想通貨がLibraからDiemに名称を変更したことは記憶に新しい。しかしその結果、新しい名称のDiemでの訴訟リスクが生じている。
なんとDiemはすでにロンドンのフィンテック企業がこのブランド名を持っているというのだ。「Diem」という名前が奪われないように、すでにロンドンのフィンテック企業は法律専門家からアドバイスを受けて準備を進めていると話している。
イメージ刷新のために名前変更を画策したフェイスブックだが、ここでまた訴訟問題になるとさらなるイメージダウンは免れない。どのように舵を切っていくのか見ものである。
トピック:Ethereumやビットコインはどのように開発されているのか
三つめのトピックは番外編だ。
世界的に使われるようになったビットコインやイーサリアムだが、これらのコインの特徴として分散的であることが挙げられる。
分散的と言うのは、言い換えると「特定の組織に属さずに仕組みがオープンソースで公開されており、誰でも仕組みを閲覧することができる」のだ。
しかし、ビットコインやイーサリアムは誰がどうやって更新を行っているのか?更新のための開発費用などはどこからどういう風に出ているのか?
ここを取り上げるにあたり、今回はイーサリアムに着目した。
イーサリアムは稼働前に実はICOで15億円程度の資金調達を行っている。その後は、イーサリアム財団が開発費を支援している。
財団は多くのイーサリアムを保有しており、イーサリアムで報酬を支払うことができるのだ。イーサリアムというコインが開発過程と共に資産価値を上げていったからこそ、現在まで継続して開発できている。ちなみに財団はウォレットのアドレスを公開しており、財団がどこの誰にどれだけの量のイーサリアムを支払ったのかをすべの人がチェックできる。
透明性が極めて高いため、不正が生じにくい。
イーサリアムが調達した資金はもちろんイーサリアムの開発に使用されており、2020年では8億円程度の予算を使用していることが明らかになっている。
今回のまとめと今後の考察
今回はややまとまりのない情報となってしまったが、本記事のまとめとしてリップルの訴訟問題に改めて触れるなら、これはリップルがビットコインと違って管理者ありきの通貨、中央集権型であることにも起因している。ビットコインでは起こりようがない話だ。誰かが発行・管理する通貨は、このようなリスクが必ず内在する。
仮想通貨は、まだまだボラティリティが大きい。保有者・参加者が触れる情報に対する些細な心の動きで価格が大きく変わってしまう。そのため、今回のような運営者の醜聞はまさに大きな”下げ材料”となる。
もし何らかのアルトコインを保有しているのであれば、プロジェクトの方向性や運営者についての情報も改めて精査しておくべきだろう。