米では大統領の発表により、暗号資産へのポジティブな動きが話題となった。
一方日本では、暗号資産の送金に関して制度改変が行われることが発表された。
今回は、日本国内での制度改変について主として紹介し、その他2つのトピックについて紹介していく。
トピック:暗号資産送金での報告義務、4月から実施
日本では、4月から暗号資産送金時に受取人の氏名や受取取引所について報告義務が課せられることとなる。
海外では既に導入されている「トラベルルール」という取り組みだが、日本でも昨年時点でトラベルルールの実施できるよう各取引所へ整備要請が出されていた。
この度、落ち着かないウクライナ情勢の中で、ロシアに対する経済制裁の抜け道となっている暗号資産の、そうした活用方法を封じるために4月よりトラベルルールが本格的に実施されることとなった。
これにより、暗号資産の送金相手が経済制裁対象国の人間であると確認された場合は、送金が停止されるなどの措置が取られるようになる。中央集権者のいない自由な暗号資産は、国家のしがらみの中でこのような枠組みへと押し込まれていく。
トピック:Astar Networkがマイクロソフトとの提携を発表
10日、日本発のブロックチェーンであるAstar Networkが米マイクロソフト社との提携を発表し、大きな話題となった。
同連携によって、支援プログラム「Astar Incubation Program」を共同で進めていく。
同プログラムは、Web3.0関連に取り組むスタートアップ企業を支援するもので、2月に設立が発表されていた。同プログラムの対象企業となった倍には、マイクロソフトの無料技術サポートなどが受けられるようになる。
Astar Networkはポルカドットネットワークに接続する権利を持っており、獲得時にも非常に話題となった。110億円規模のファンド発表や、メタバース参入に向けたアクション、そして今回のマイクロソフト提携と短期間で活発な動きを見せている。
トピック:暗号資産規制専門機関を設立、ドバイ
ドバイでは新暗号資産法の樹立とともに、規制専門機関であるドバイ暗号資産規制当局が設立された。
同機関はVARAと称され、暗号資産サービスに関するライセンス発行及びコンプライアンス監督など、暗号資産専門の監督を行っていく。
ドバイにはブロックチェーン専門の裁判所も設置されており、世界における暗号資産のハブという立ち位置を目指している。ドバイではより規制を明確化することで、暗号資産における安全かつ健全なサービスを受けられるようになることが期待されている。
先週のまとめと今後の見通しの考察
連日ニュースとなっているウクライナ情勢、日本も経済制裁に参加し、我々の生活にも着々と影響が出始めている。
その一つが、今回発表された暗号資産送金における報告義務だ。
ロシアへの経済制裁の抜け道として暗号資産が利用されることで、経済制裁の効果が薄れるという点が問題であり、それに対する対策としてもトラベルルールは有効となるだろう。
しかし国による制度改変によって、本来国のしがらみを超えた取引ができる暗号資産の自由さが失われていくことには疑問を感じざるを得ない。暗号資産の自律性と独立性を規制するような枠組みに、これ以上はめ込まれないことを祈るばかりである。