2022年仮想通貨界に最も衝撃を与えた事件は、ステーブルコインLUNA(テラ)の大暴落だった。
我々は、ようやくその痛みから立ち直ろうとしていたところ、再び大きな衝撃に襲われる。今回大きな話題となっているFTX騒動だ。
本記事では、FTX騒動がなぜ起こったのかというきっかけから、一連の流れを振り返っていこうと思う。
トピック:FTX親会社アラメダ・リサーチの貸借対照表が流出
きっかけは、11月2日のCoinDeskのリークだった。
FTXのCEOであるバンクマン・フリード氏が設立したアラメダ・リサーチは、取引所FTXの親会社にあたる。
そのアラメダ・リサーチの貸借対照表が流出し、これをCoinDeskが報じたのだ。
アラメダ・リサーチの資産内訳について言及があり、以下のようなことが判明した。
「アラメダ・リサーチが保有する約146億ドルの内、36,6億ドル分がFTTである。」
FTTだけでなく他にも仮想通貨で資産を保有しており、現金など現物で保有する資産はわずか2,900億円(≒20億ドル)だったという。
この情報を得た多くの人々が、不安を抱いた。このリーク情報の他にも、FTTを担保として多額の借金をしていたという話も出回り始めたからだ。相場が急変した場合、アラメダ・リサーチの資産もともに暴落する。
命綱なしで綱渡りの綱を歩いているかのような状況に、背中を押したのはBinance(バイナンス)CEOチャンポン・ジャオの一言だった。
トピック:チャンポン・ジャオがFTTを売却表明で価格暴落、FTX買収に動く
リークから5日後の11月7日。
大手仮想通貨取引所BinanceのCEOを務めるチャンポン・ジャオが、FTXに出資した際に得ていたFTTを全て清算する意向を示したのだ。
保有していたFTTとBUSDを合わせると約21億ドルにものぼる。これを全て売却するという発言に、市場は大きく動かされ、FTTの価格が10%近く下落した。
こうした流れを受けて、各投資家たちもリスク排除の観点からFTTを売却。
ところが、翌日8日時点からすでにFTXの出金渋りが始まっていた。
9日にはチャンポン・ジャオがFTX買収について発表。現在の市場が陥っている問題を解消するための手段だとしたのだ。
しかしこの頃すでに、FTTは大暴落を期していた。価格は前日比86%安を記録。当然、FTTで資産を保有していたバンクマン・フリード氏の資産も暴落することとなった。
トピック:BinanceがFTX買収を中止、FTX救済ならず破産へ
10日になると、BinanceはFTXの買収中止を発表した。
FTXが抱える負債が予想以上の額だったからだ。そしてついに、FTXは顧客への出金を停止。大きな不安が市場を渦巻いた。
その後、バンクマン・フリード氏の顧客資産乱用が確定し、FTXは大きな資金難に陥っていることが発覚。12日時点で破産申請を行う流れとなった。
出金停止にも関わらず、FTXからは大量の資金が外部に流出していることも発覚し、様々な憶測も飛び交っている。
先週のまとめと今後の見通しの考察
FTX騒動の大まかな流れは以上だ。FTX利用者にとっては、人生を揺るがす大事件である。
顧客の資産が今後どうなるのかは現時点で不明となっており、国内ではFTX Japanの対応にも注目が集まっている。
今回の事件をきっかけに、仮想通貨取引から足を洗うというユーザーも増えており、仮想通貨の冬はますます寒くなる一方だ。