イーサリアム価格が再び上昇をはじめている。
9月2日に490ドルを記録したものの、明らかに上がりすぎなことに対する不信感から一気に下落をはじめ、一時は300ドル目前まで価格が暴落した。しかし、現在その暴落の勢いは収まり、再び上昇に転じた。
下降トレンド気味なビットコインとは似つかない動向である。
今回の記事ではイーサリアム価格の直近の分析と諸問題について述べていきたい。
yETHが理由?クジラの買い増しによる下落ストップ
まず注目すべきことは、イーサリアムの価格が下落した際に一部のクジラが買い増しをしていたことである。具体的には1,000〜10,000ETHを所有するクジラが増えてきたというのだ。
この大口投資家の狙いはもちろん安価な時にイーサリアムを買うことで利益を出すことであるが、そのほかにDeFiの精算メカニズムがあるのではないかと指摘されている。
DeFiの中にyETHというプロトコルが存在する。yETHには、価格が一定ラインを割った際に、ETHを補充しないと自動的に精算されるシステムがある。直近の下落において、その精算を防ぐため投資家が買い増しをしなければならなかったのではないか、という指摘がある。
良くも悪くも、このDeFiのメカニズムが価格の下落を一定ラインで防ぐ要因になったのかもしれない。また今後もこの精算メカニズムがあることによって大きな下落を起こしにくくするのではとも考えられる。
バグ発生と課題
しかし、まだ大きな問題もある。現在、パリティーイーサリアムとオープンイーサリアムのバージョン2.7以降でバグが発生し、イーサリアムのノードの13%が使用できなくなっているのだ。
ここで見て取れるのは、複数のソフトウェア運営クライアントを抱えることの重要性である。
現在イーサリアムはゲス(Geth)が大多数のソフトウェアを管理しており、パリティー・テクノロジーズもメンテナンス以外で関わっている。ソフトウェア運営クライアントが複数いればいるほど、どれか1つが攻撃されても他のクライアントで運営することができる。このため、並列したソフトウェアによる運営はリスクヘッジとして非常に有効な手段なのである。
しかし、現在は2つのうちパリティーがダウンしている為ゲスに大きな負担がかかっているという状況である。
イーサリアムの今後は?
今後のイーサリアムを考えると、クライアントの多様性を確保することは急務ではないかと言える。しかし、多様性を増やせば増やすほどコードの整合性を保つことは難しくなるため、リスクヘッジと簡便性のバランスも重要になるだろう。
今回の記事をまとめると、イーサリアムの価格下落は一旦落ち着き、再度上昇のトレンドへ戻りつつある。その理由はyETHにおける強制的な清算を避けるための買い増しによるものと考えられる。一方、バグも生じており、ソフトウェア運営のクライアントに見直しは必要かもしれない。その動きのなかで期待よりも不安が上回るなら、再び下落する可能性もゼロではない。
イーサリアムは仮想通貨全体のなかでドミナンスを上げてきており、今度もしばらく注目が続くことは間違いなさそうだ。