簡単にNFTを配布できる「NFT配布くん(仮)」というサービスがリリースされた。NFTを受け取る側が、仮想通貨やウォレットを持っていなくても配布できるというものだ。続々と国産NFT関連サービスがリリースされる中、国内でサービスが浸透する未来はあるのか。
今回は、「NFT配布くん(仮)」を紹介しながら国産NFT関連サービスの未来について考察していく。
簡単にNFTを配布できる「NFT配布くん(仮)」とは
株式会社リードエッジコンサルティングは、このたびNFT配布サービス「NFT配布くん(仮)」をリリースした。
同サービスは、toB向けのNFT配布サービス。企業がNFT配布時に「NFT配布君(仮)」を使うことで、受け取る側が無料でNFTを保有できる。
通常NFTを配布するためには、MetaMaskといった既存のウォレットやガス代を支払うための仮想通貨が必要だ。しかしそういった準備によって、シームレスなNFTの配布が難しい状態だった。同サービスはそういった課題を解消し、受け取り側が無料でNFTを保有できる仕組みを構築した。
「NFT配布くん(仮)」で記念NFTを配布
「NFT配布くん(仮)」を利用した記念NFTの配布は、既に予定されている。
画像出典:NFT配布くん
記念NFTの配布は、サービスやキャンペーンの宣伝効果を得られる。そしてNFTに興味がありつつも、MetaMaskや仮想通貨などの障壁によって手を出せなかった層が、気軽にNFTを受け取れるようになる。
このように企業の宣伝とともに、NFTの認知度・保有率の向上を目指すことができるのだ。
国産サービスはシームレスに参入できるようで、できなかった
「NFT配布くん(仮)」のように、MetaMaskや仮想通貨を使わずにNFTを手に入れることができるサービスは、実は国内に多く存在する。
特に国産NFTマーケットプレイスは、ほとんどがクレジットカードに対応しており、MetaMaskや仮想通貨を不要としている。
しかしそれでもNFTが広まっている感が少ないのは、NFTを売る側の障壁が高いからだ。
例えば、クレジットカードでNFTを購入できるAdam by GMOは、NFTを売る場合に申請が必要となる。審査には時間がかかる上、落ちれば販売できない。
このようにNFTの購入障壁は低いものの、販売障壁が高いという現状があるのだ。これでは、NFTを誰でも気軽に売買という形にはならないだろう。
国産NFTマーケットプレイスがなかなか流行らない原因はここにある。「NFT配布くん(仮)」は、NFTの売買サービスではないが、別方向からこの障壁を崩したと言える。
国産NFT関連サービスがよりシームレスになるためには
「NFT配布くん(仮)」は、非常に画期的なサービスだ。こういったシームレスさを保ったまま、NFT売買を国内に浸透させるには、まだ課題が多い。
本格的にNFT関連サービスを開発するために必要な環境が整っていないからだ。仮想通貨を利用した資金調達は、税制の関係でハードルが高い。既にブロックチェーン関連の優秀な技術者は、海外へ流出している。現在NFT関連サービスの開発を行っている企業は、開発部分を海外企業や海外に拠点を置く子会社に委託している場合が多いのが現状だ。
つまり、国内でNFT関連サービスを開発し、提供するのは難しいと言える。
最近ようやく国の方も「骨太方針2022」にてWeb3.0に力を入れるという話になってはいるものの、すぐには浸透しない。
国産NFT関連サービスがよりシームレスになるためには、国内環境が整うことが必須だが、時間はかかるという状況だ。その間、海外ではどんどん新たなサービスが誕生し、広まっていっている。
スタートダッシュに遅れた日本がどこまで追い付けるのか、見守るしかなさそうだ。