Magic Edenは、アーティスト保護の精神を重んじるNFTマーケットプレイスだ。しかし最近の傾向に抗えず、ロイヤリティフリーの選択ができるようになった。このままMagic Edenはその他大勢と同化してしまうのだろうか?
本記事では、Magic Edenが新たに導入した選択制ロイヤリティと新機能「Boots」について紹介し、今後のソラナNFT市場について考察していく。
手数料を選択?払わなくてもいいMagic Edenの選択制ロイヤリティ
NFTを発行する際には、まず発行時にブロックチェーンの利用料としてガス代が必要となる。
その後、NFTを購入者に送る際にガス代とマーケットプレイスへの手数料を払う。マーケットプレイスによって、誰がどの手数料を払うか違いがあるが、Magic Edenの場合はロイヤリティの発生時の手数料を買い手が負担するシステムだった。
このシステムに対して、Magic Edenは選択制ロイヤリティを導入。買い手が、ロイヤリティ手数料は「払うか」「払わないか」選べるというものだ。
一見すると、マーケットプレイスが損をしそうなこの機能。なぜ実装に至ったのか。その背景には、新興勢力の存在がある。
最近は、ロイヤリティを設定しないロイヤリティフリーを全面に押し出すプラットフォームが増えているのだ。HadeswapやYAWWWなどである。
この辺りの新興プラットフォームは、買い手側に人気となっている。Magic Edenは、ソラナNFT市場で大きなシェアを占めてはいるが、こうした新興勢力に押され、低下傾向にあるのだ。
これに対抗するため、ロイヤリティフリーも選べるという機能を実装したということになる。
新たな機能「Boots」で差別化できるか?
新興勢力に対抗すべくロイヤリティフリーを選べるようにしたものの、Magic Edenは当初からのアーティスト保護の精神を忘れてはいない。
17日、Magic Edenは新サービス「Boots」を発表。NFTを着せ替えでき、装備品をつけるとNFTに反映されるなどカスタムを楽しめるサービスだ。
こうした機能があれば、買い手はNFTを持続的に楽しめる。NFTが持続性を持てば、売り手はロイヤリティがなくても、装備品の売買で収益を上げられるようになるのだ。
ソラナNFTの動向は?
Magic Edenが大きなシェアを占めるソラナNFT市場。実は、ソラナNFT市場は現在拡大傾向にある。ソラナチェーン自体が度重なるネットワーク停止で、ユーザーには不満の声が広がっていた。
しかし、そうした状況とは裏腹に、ソラナNFTの発行数は増加傾向にあるのだ。
ソラナNFT急増の背景には、イーサリアムNFTよりもガス代が安いということ、これまでよりも安い価格帯でのNFTが流行し始めていることが関係しているとされる。
これまでNFTは、オークション形式で価格を跳ね上げることを目的にしたコミュニティや売り方が主流だった。しかしこの傾向はシフトされ、現在ではある程度の価格を保持した形で販売する傾向が広がっている。
ソラナNFT市場が拡大を続けるなら、Magic Edenはなんとしてでも現在のシェア率80%は保持したいところ。故に、ロイヤリティフリーの導入と新たな機能「Boots」によってアーティスト保護という両軸を打ち出したのだろう。
Magic Edenの新たな試みが、NFTの新しい楽しみ方として広まってくれると、さらにNFT市場が盛り上がっていいくだろう。