ブロックチェーンの技術を利用して、現実の土地を売買できる仕組みが注目されている。
実在する不動産をビットコインで売買したという例は増えてきている。
今回はそれとはまた違った方法で、不動産をブロックチェーン上でやりとりするプラットフォームについてご紹介したい。一体どうのような仕組みなのか、現実とリンクするブロックチェーン技術の応用について触れていく。
現実の不動産物件をNFT化して売買する
アメリカのPropy(プロピー)という会社は、ブロックチェーン技術を応用して不動産取引を行う企業だ。
シリコンバレーに本拠地を置き、世界中の人々を相手に不動産取引を行えるプラットフォームを運営している。
2021年7月、Propyはウクライナに実在するアパートをNFTオークションで売り出した。
NFTは実物を暗号化することで、所有者がその価値を証明する一つの証明書の役割を果たすとともに、オプションとして様々な契約や付録をつけることができる。
今回のNFT物件の場合、所有者は以下のものを含んだNFTを獲得することになる。
物件の所有権譲渡書類へアクセスする権利
キエフ(ウクライナ)の人気アーティストChizzのデジタルアート作品のNFT
当該アパートの写真
同オークションは、当時価格36ETH(93429.72米ドル)で落札されることとなった。売り出し価格は約216万円だったが、最終価格は1000万超えとなったのである。
Prooyは2021年時点で、このような新たな形の不動産取引をスタートさせていたのである。
NFT物件をより円滑に取引できるプラットフォームのサービスの提供
ウクライナの物件を使ったオークションは見事に成功した。
Propyは同じことをアメリカで展開し、成功させることを目指している。フロリダ州の物件を対象としたオークションが2月8日に行われる予定だ。
今回のNFTは、物件の所有権を手に入れるための書類にアクセスする権利が手に入るようになっている。NFT不動産取引では、通常の不動産売買よりも時間や費用などのコストを削減できる点が注目のポイントだ。
国を超えて不動産取引を行う時に様々な問題が生じる。
Prooyは、そうした問題を解決しながら、取引に関わる全ての人が一か所で手続きを完結できるように、ブロックチェーン技術を使って円滑化をはかろうとしているのだ。
今度はアメリカの物件を対象に、NFT不動産取引を進めていく。その中で、Propyが運営するNFT不動産取引プラットフォームは必要不可欠だ。
不動産投資と密接に絡み合うブロックチェーン
こうした国際間で行われる不動産取引は、投資目的が多い。国際間不動産取引をブロックチェーン上で行えるメリットは、取引の円滑化だけに留まらないだろう。
不動産投資と仮想通貨投資を掛け合わせた投資が可能となるからだ。
Propyが運営するプラットフォームは、既存のブロックチェーンの中でどれを基盤としているかを明らかにしていない。しかし発行されているトークンの規格がERC20に該当するため、イーサリアム系列ではないかとの見方が強い。
実際のオークションもイーサリアムで売買されることもあり、こうした点で仮想通貨と不動産投資を掛け合わせた投資が垣間見える。
この例を見ていくと、NFT化できるものの幅が思っている以上に広いことがわかる。単に、絵画や音楽などの価値を証明するだけには留まらないのだ。
今回紹介したPropyは世界で最初に実在する物件をNFTとして販売したが、今後も思いもよらないNFTが誕生していくのではないだろうか。
そうなった時、NFTはやはり仮想通貨と隣り合わせとなってくる。今は下火となっている市場も、大きな話題を呼ぶNFT化によって再び息を吹き返す可能性もあるだろう。