先週はビットコインが更なる下落を見せて、仮想通貨市場の天気は一層曇りとなった。
相場には金融引き締めに対する強い警戒感が表れている。
一方で、マイニングや買い増しなど、ビットコインに対して積極な姿勢を見せている界隈も存在する。
今回は最高難易度を記録したマイニングとビットコインを支えとする国の動きについて紹介するとともに、SECのビットコイン現物ETF承認却下について触れていく。
先週のBTCチャート(1月17日~1月23日)
21日に突如下落を見せたビットコインは、週末まで価格を回復することなく価格を推移させ、400万円を切る結果となった。
大幅に下落した最大の要因は、25日から開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)にて、金融引き締めが強く示唆されるのではないかという強い警戒感による株式市場の下落基調だ。
米株を筆頭に下落を見せた株式市場と同様に、ビットコインも下落の形を見せる結果となった。
トピック:2022年も続くSECのビットコイン現物ETFの申請却下
20日、SEC(米証券取引委員会)はNYSEアーカ取引所が申請していたビットコイン現物ETFである「ファースト・トラスト・スカイブリッジ・ビットコインETFトラスト」の申請を退けた。
却下理由はこれまでと同様で、現物ETFにおける投資家や公共の利益が十分に保護されるルールが徹底されていないことを挙げている。昨年10月にSECが初めてビットコイン先物ETFの承認をしたことで、現物ETFの承認へも期待が高まっていたが、その後まだ申請が承認された例はない。
SECがビットコイン現物ETFを承認する未来はまだ遠そうだ。
トピック:弱気相場でも国を支えるビットコイン、エルサルバドルの買い増しとトンガ王国の寄付
昨年9月にビットコインを正式に法定通貨とする法案が可決されたエルサルバドルは、その後度々ビットコインを買い増ししている。今回は、弱気相場で410BTCの購入となった。
これによって、一時相場の下落が押し留まっている様子も見られる。ビットコインを法定通貨として扱うエルサルバドルにとって、弱気相場は格好の買い場となる。
エルサルバドルと同様に、ビットコインを法定通貨にしようとしている国がある。先日海底火山の噴火で大きな被害を被ったトンガ王国だ。
現在トンガ王国はライフラインが繋がらないほどの状況となっており、通常の送金手段が遮断されている。
しかしそのような中で、ビットコインによる送金のみが稼働できている状態とのことで、同国はビットコインでの寄付を呼び掛ける事態となっている。
寄付されたビットコインは、市民のウォレットへ配分される仕組みとなっているようだ。こうした形でビットコインは国を支える大きな力を持つ通貨となっており、注目を集めている。
トピック: ビットコインマイニングの難易度が過去最高に、電力消費問題について議論
先週は下落した価格が回復することなく年初から弱気相場となっているビットコインだが、マイニングは衰えることがない。
22日にはマイニング難易度が過去最高値を更新し、相場とは裏腹にマイニング事業は盛り上がりを見せている。
ビットコインマイニングはかねてより、膨大な電力消費が問題視されており、マイニングに対する規制を示唆する国も出始めている。
20日、米下院のエネルギー・商業委員会もマイニングに関する公聴会を開催して話題となった。委員からは仮想通貨市場の拡大を受けて、環境への影響を最小限へ抑えることのできる方法を見出す必要があるとコメントしている。
関連分野の研究者や有識者が集まって議論が交わされるも結論はまだ出ない。同委員会では今後も、ビットコインをはじめとする仮想通貨マイニングにおけるエネルギー消費問題について議論が交わされていく予定だ。
先週のまとめと今後の見通しの考察
年初からビットコインは、金融引き締めへの警戒感を色濃く投影した弱気相場となっている。
しかし相場とは裏腹に、マイニングは相変わらず盛んに行われており、過去最高難易度を記録。さらに、エルサルバドルやトンガ王国のように国を支える通貨として活用されていることもわかる。
弱気が続く相場には不安を覚えるが、それでもビットコインが培ってきた価値は消えない。辛抱強く見守っていくことが重要だ。