ビットコイン相場は先週一旦息を吹き返すように回復を見せ、週末は430万円前後を推移した。
一方で、ビットコインをはじめとする仮想通貨の不安定な相場が各国の関係機関を刺激し、そのリスクや課題に再び懸念が強まっているのも事実だ。
今回は、2022年に入ってから1ヶ月経ってわかったビットコインの中でのオールドコインの動きと、アメリカやIMFの仮想通貨に対する懸念に関するトピックを紹介していく。
先週のBTCチャート(1月24日~1月30日)
本チャートの前週に急落を見せたビットコインは、400万円を切る下落を見せたものの24日からは回復を見せた。
24日から26日にかけての上昇は、ビットコインにとって3ヶ月ぶりの大幅上昇となったが、その後は不安定な動きを見せている。
トピック:オンチェーンの分析結果からわかる、オールドコインの動き
ブロックチェーンはその透明性から、コインの保有数やユーザー数、トランザクション量などを把握することができる。
これらのデータを使って相場や取引の動向を読み取っていくオンチェーン分析からは、ビットコイン相場がやや弱気に傾いていることが示唆されている。
クラーケンインテリジェンスの最新レポートでは、ビットコインの内6ヶ月~5年間動きが見られなったオールドコインが昨年11月以降に売られ始めている傾向について触れている。
オールドコインはその期間の長さからビットコインの長期保有者と考えることができ、昨年11月まではこのオールドコインの動きはあまり見られなかった。
しかし、それ以降は少しずつだがオールドコインの量が減ってきており、長期保有者がビットコインを手離し始めていると考えられる。
ただし、これが一時的な落ち込みであり長期的な上昇トレンドの中では当然の調整とする見方もあるため、現時点で弱気相場かどうか断言するにはまだ少し早そうだ。
トピック: 2月に大統領令発表、仮想通貨の未来はどうなる
昨年は中国の仮想通貨禁止の大号令が発表され、関連企業や取引所は同国撤退を余儀なくされた。
2021年は仮想通貨市場が大いに盛り上がった一方で、2022年は大きく下落を見せているため仮想通貨に対する懸念が広がっている。
規制を強化する動きを見せている国も多く、ロシア中央銀行もこの程仮想通貨禁止の提案を発表したばかりだ。
そんな中、アメリカでも動きが見られるようだ。
アメリカにおいてもかねてより、急成長を見せる仮想通貨に対する規制や法律の整備について議論が交わされていたところだったが、今回2月に仮想通貨に関する大統領令が発表されることがわかった。
内容としては、アメリカ全体の仮想通貨に対する取り組みの中心をホワイトハウスに置き、今一度仮想通貨のリスクや課題について考えていくというもののようだ。
アメリカにおいて仮想通貨が禁止されることはまずないと予想できるが、様々な考え方を持つ各機関をどのように掌握し議論をまとめていくのかは追っていく必要がある。
トピック:IMFがエルサルバドルへビットコイン法定通貨の見直しを求める
ビットコインの下落とともに、買い増しを続けているエルサルバドル。
2021年にビットコインを法定通貨とし、その後も国内のビットコインインフラを整えているところだが、ここでIMF(国際通貨基金)理事会より法定通貨の見直しを要求されている。
24日IMFとエルサルバドルで行われた協議の中で、IMF側はビットコインの安定性や安全性などの諸課題および財務上のリスクについて指摘している。
IMFにエルサルバドルの法定通貨を変えさせる権限は存在しないが、加盟国の金融情勢をモニターしながら助言を行うことは業務の一つであり、今回の要求に至っている。
先週のまとめと今後の見通しの考察
ビットコインがようやく息を吹き返してきたことを感じさせるチャートを見ることができて、まずは一安心といったところだろう。
しかしこの不安定な相場によって、各国はビットコインへの懸念を強めていることも事実だ。
アメリカの大統領令はもとより、IMFがエルサルバドルの法定通貨について要求を示してきたところを見ると、今後も仮想通貨に対する懸念は世界で広まっていくことが予想される。2月の大統領令がどのような内容で発表されるのが、事前にある程度把握しておく必要がありそうだ。