ビットコイン投資信託(GBTC)の原価資産に対してのプレミアム(価格乖離)がここ数年の中でも最低水準となっている。一般的にビットコイン相場が上昇する際にはプレミアムが高くなり、ビットコインが下降する際にはプレミアムは低くなる傾向がある。今回は下降シグナルの一つとして捉えることができる可能性がある。
GBTCとは
GBTCはGrayscale Bitcoin Investment Trustの略で、ビットコインの市場価格を基準とした投資信託のことで、投資の対象をビットコインだけにしている初の証券である。
仮想通貨を対象としている投資信託は今でこそいくつかあるが、その中でも、需要が高くなっているのがオープンエンド型投資信託という種類のGBTCである。オープンエンド型投資信託の特徴としては、換金をいつでも行うことができ、その価格は1日に1回決められる。ちなみに日本の投資信託の多くは、このオープンエンド型投資信託で、この反対がクローズエンド型投資信託である。クローズエンド型投資信託は、不動産投資信託や上場投資信託ですぐに換金できないものを指す。
このGBTCが人気の理由は、ビットコインそのものの特徴からである。ビットコインは仮想通貨なので、ハッキングや漏洩のリスクがないという理由から、機関投資家から人気が拡大した。このことから、実際の価値との価格乖離が頻繁に起こっている。
グレースケールのビットコイン購入が減速
大手仮想通貨ファンドであるグレースケールはビットコインの購入を過去数週間から減速している。6月19日の書類では約2万ビットコインを購入していることを報告しているが、その後の書類ではビットコインの購入については言及していない。しかし、グレースケールの代表は、ビットコインの新規購入の停止は一時的のものだと説明している。
グレースケールが新規購入を辞めた理由として、抵ボラティリティになってしまっていることが挙げられる。直近、1日においての騰落率が5%未満の期間が長く続いていた。ビットコインは比較的、ボラティリティが高い。現状はは珍しく、どのような値動きがあるのか不透明であることから冒険はしない選択をとっているのではないかという予想を立てることができると言えるだろう。
グレースケールの投資額の規模は確実に増額している。グレースケールの投資額は、2019年の10月~12月(Q4)は、1.9億円であるが、2020年には5.3億ドルまで増えている。冒頭で影響力があるという話をしたが、年々増えていることを鑑みるに、この値は、ビットコイン市場に大きな影響を及ぼすといっても過言ではないだろう。今回のシグナルも要注意だ。
また、直近のビットコインの動きでいえば、週末にはやや下目線が強まったが、リップルやネムの影響を受けて19日夜に反発している。
ただ、GBTC単体の情報だけでは、ビットコインが上がるのか下がるのかわからない。このGBTCの最低水準マークによって、ビットコインになんらかの悪い影響が出る可能性があることは意識しておきたい。