NFTアートに保険を、HARTi×三井住友海上が業務提携で国内初の挑戦

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NFTを購入すると、自分が持つウォレットに保存するようになっている。

しかし様々な手段を講じて不正アクセスをし、NFTを盗む輩が大勢いるのが現状だ。

NFTの流出は毎日そこかしこでおき、時には多額の被害となってわが身にふりかかる。

こうした状況下で、HARTi×三井住友海上が新たな試みを発表した。NFTアート専用保険である。特に国内では、NFT関連の保険は初となるため大いに注目が集まっている。

今回は、NFTアート保険の概要を解説するとともに、NFT流出対策について考察していく。

HARTi×三井住友海上「NFTアート専用保険」の概要

7月26日、株式会社HARTiは三井住友海上火災保険株式会社と業務提携を結び、新たに「NFTアート専用保険」のリリースしたことを発表した。

同保険は、HARTiが運営するNFTマーケットプレイス「HARTi(ハーティ)」において、出品者向けに提供される保険だ。出品作品には無償で付帯されるため、被保険者が保険料を支払う必要はない。

誰かが不正アクセスをしたことで、出品したNFTアートが流出した場合、出品者が被る損害を補償してくれる。補償限度額は最大50万円となっており、出品価格などを参考にして決められるという。

NFTマーケットプレイスHARTiは、完全招待制・審査制のプラットフォームだ。入会時点で怪しい人物は排除されているはずだが、こうした閉鎖的空間でもNFT流出が起きることを予想しているのだろう。

HARTiと三井住友海上は、今後もNFTを取り巻くリスクに対応した商品やサービスの開発を進めていくとしている。また、今回よりも高額の補償提供を示唆している。

NFTを取り巻くリスク

このような保険が登場した背景には、NFTを取り巻くリスクがある。最初にも触れたように、NFTの盗難や流出は毎日そこかしこで発生しているのだ。

例えば、今年の4月に発生したNFT盗難事件をおさらいしてみよう。

人気NFTコレクションの一つである「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」が、約3.5億円相当のNFT盗難被害に遭ったのだ。この時、同コレクションのインスタグラムアカウントが乗っ取られ、そこでフィッシングサイトへ誘導する投稿が行われた。偽物と気づかずに釣られたユーザーたちは、フィッシングサイトにアクセスし、無償配布されるはずのNFTを受け取るためのトランザクションに署名。しかしこれが、実際はウォレットから自分の資産を送金するトランザクションだったのだ。

フィッシングリンクを踏んだユーザーも被害を受けたが、BAYCのNFT作品も数多く流出してしまったのである。

この事件からもわかる通り、NFTはいとも簡単に流出してしまう。しかも、新しい手段ではなく、これまで使い古されてきたフィッシング詐欺という手口によってだ。

このように、NFTそのものよりもNFTを取り巻く環境におけるリスクが、NFT盗難や流出につながっている。

NFT流出は続いていく、HARTi×三井住友海上の今後に期待

NFTの流出や盗難は間違いなく、今後も続いていくだろう。被害を0にすることは、不可能である。NFT取引を行うプラットフォームやSNSなどのセキュリティが脆弱だからだ。

NFTアート専用保険は、今回閉鎖的なマーケットプレイス内で展開される。OpenSeaなどの開かれたプラットフォームとは明らかに異なり、NFT流出リスクが比較的低いように思う。その中で、どれだけ保険が使われ補償されるのか、今後の実績に注目を集まるだろう。

そしてこれをスタートとして、是非開かれたマーケットプレイスでも活用できるNFT保険商品の展開を進めていってほしい。

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