「仮想通貨取引のためにテクニカル分析を始めよう」と思っても、難しそうなイメージがあり、何から始めたらいいのか分からないという人も多いことであろう。
トレンド系やオシレーター系、フォーメーション系と様々なタイプのテクニカル分析の手法があるが、今回は相場の全体的な流れをつかめる「トレンド分析」について紹介している。なお、他の分析方法についても今後紹介していく予定だ。
トレンド系の分析で相場の方向をつかむ
トレンド系の分析では、相場の全体的な方向性をつかむことができる。まずは方向をつかまないことには、トレンドの強さや過熱感も分からない。
さっそく、トレンド分析の代表格である移動平均線の基礎や、移動平均線を使ったトレンド判断の仕方をみていこう。
移動平均線の種類
移動平均線とは、ローソク足に絡むように描かれた、一定期間の価格の終値の平均値をつなぎ合わせた折れ線グラフのことだ。集計期間が長ければ長いほど、移動平均線は緩やかになる。
以下のチャートは、ビットコインのチャートだ。赤と緑のローソク足に絡むように、薄い青色の線が引いてある。これが移動平均線である。
よく使用される移動平均線に、「単純移動平均線(SMA)」と呼ばれるものがある。他にも、単純移動平均線よりも直近の価格に比重を置いた「指数平滑移動平均線(EMA)」や「加重移動平均線(WMA)」がある。
この2つは値動きに敏感に反応するため、売買シグナルが出やすいのが特徴だ。
ちなみに両者の違いとしては、直近の価格に対する比重が指数平滑移動平均線>加重移動平均線という違いがある。
トレンド判断の仕方
では、移動平均線を使用したトレンド判断の仕方を紹介する。
基本的に、移動平均線が上向きであれば「上昇トレンド」、下向きであれば「下降トレンド」といわれており、移動平均線そのものがトレンドを表す。
以下の画像の、ピンク色で囲った部分は上昇トレンドを示している。青色の移動平均線が右肩上がりになっていることが分かる。
反対に、以下の画像は下降トレンドを表している。ピンク色で囲った部分の移動平均線が右肩下がりになっている。
さらに、ローソク足と移動平均線の位置関係からもトレンドの判断が可能だ。ローソク足が移動平均線よりも上側にある場合は、強い上昇トレンドが訪れていると考えることができる。
同様に、ローソク足が移動平均線よりも下側にある場合は、強い下降トレンドが訪れると見なすことができる。
このように、移動平均線は線の向きやチャートとの位置関係によってトレンドを判断することができるため、比較的簡単な分析方法だ。初心者でも取り入れやすいテクニカル分析のひとつであろう。
移動平均線の見方
次は、移動平均線の基本的な見方を解説する。短期線・中期線・長期線の種類や、それぞれの線を組み合わせた見方も掘り下げていこう。
グラフは短期線・中期線・長期線に分かれている
移動平均線は、一定期間の価格の平均値をつなぎ合わせている。その一定期間ごとに、線にも短期線・中期線・長期線の3種類がある。
・短期線…5日、7日、14日
・中期線…21日、50日
・長期線…90日、180日、200日
表示されるチャートによって多少の違いはあるが、大まかに上記のような期間になっていることが多い。
仮想通貨取引においては、25日以上の移動平均線を使用すると良いだろう。たとえば、中期移動平均線に比べて短期移動平均線は敏感に動く。そのため、短期移動平均線はローソク足が反転すると移動平均線も反転する。それゆえ判断材料として利用する際には注意が必要だ。
特に始めのうちは短すぎず長すぎない、適度な長さの移動平均線を使うのがおすすめである。
基本的な活用方法
基本的には、移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンドと見なすことができる。
他には、短期線や中長期線を組み合わせるという活用方法もある。
たとえば、短期線で見ると価格は下降しているが中長期線で見ると上昇しているケースがある。このような場合、短期線だけで見ると価格が下がっているため早めに売却した方がいいかと思いがちだ。しかし、中長期線で見ると上昇トレンドであるため、「急いで売らない方が賢明かも」という判断ができる。
このように、移動平均線を上手く活用すれば目先のトレンドに左右されず、長い目でトレンドを見極めることにもつながる。
ゴールデンクロスとデッドクロス
ゴールデンクロス・デッドクロスは、移動平均線を活用した売買シグナルだ。こちらも複数の移動平均線を組み合わせて使用する。
ゴールデンクロス
短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けるとき。直近の価格傾向が上向きに転じたと見られるため、「買いサイン」とされている。
以下の画像は、ゴールデンクロスを示している。赤色の線が短期移動平均線、緑色が中期移動平均線、水色が長期移動平均線だ。ピンク色で囲った部分がでは、赤色の線が水色の線を下から突き抜けている。
デッドクロス
ゴールデンクロスとは反対に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けるとき。直近の価格が下向きに転じたと見られるため、「売りサイン」とされている。
以下の画像は、デッドクロスを表している。赤色の短期移動平均線が水色の長期移動平均線を上から突き抜けている。
このサインを発見したら売買を決定すると良いだろう。初心者の人は目安として覚えておくと、便利である。
今回は、トレンド分析の代表格である移動平均線について紹介してきた。移動平均線を使ったテクニカル分析は、誰でも簡単に始めることができる。もちろんプロの投資家も使っている分析方法なので、使い方をマスターしておくと取引においても有利だ。
仮想通貨取引の際にはぜひ、本記事の内容を役立ててほしい。