ウクライナ情勢によって、不安定な動きを見せる仮想通貨市場。
その裏では、各国が着々と仮想通貨に対する動きを見せている。特に注目を集めていたEUの規制では、草案からPoWの禁止が削除され大きな話題となった。
今回はそのニュースを筆頭に、スイス・ルガーノとベネズエラがの新たな取り組みについて紹介していく。
トピック:PoW禁止を削除、EUの動きに注目
まずは、かねてより話題になっていた、EUによるPoW規制について。
1日、ついに草案からPoWの利用禁止に関する項目が削除されたことがわかった。
マイニングによって多大な電力を消費するPoWは、環境破壊や電力不足に拍車をかけるとしてEU内では禁止の方向で規制される動きが見られていた。今回の削除についての背景や理由は明らかになっていないが、PoWの禁止に対しては反発する勢力も強かったため、見送られたと推測される。
今回の規制法案は投票が延期になり保留とされていたが、新たな投票日も発表された。
3月14日以降から4月上旬のどこかになりそうだ。
この間に、PoWの禁止が再度草案に盛り込まれることはまず考えられない。EUによるPoW禁止による影響は大きいと予想されるため、まず今回は安心して良いだろう。
トピック:スイス・ルガーノが税金の支払いを仮想通貨で
スイスの都市ルガーノが、テザー社とパートナーシップを締結した。
これにより、ルガーノ内で税金の支払いを仮想通貨によって行うことができるようになる。
ルガーノの動きはこれだけではない。BTC・USDT・LVGAの3つの通貨を事実上、法定通貨として扱うことがわかった。
ルガーノはテザー社との提携によって、ヨーロッパでの仮想通貨首都やブロックチェーンハブになるべく活発に動いている。
ビットコインを法定通貨とした国や、検討している国は様々ある。しかしルガーノのように複数の通貨を併用して法定通貨として扱うという形は、まだあまり浸透していない。
ルガーノは、今後3つの通貨を使った決済や税金の収納を広めていく。
トピック:ベネズエラで最低賃金を18倍に引き上げ、仮想通貨ペトロと連動
ベネズエラが発行する仮想通貨ペトロは、石油を裏付けとするコモディティトークンだ。
文字通り、ベネズエラが国をあげて発行し管理している。
ペトロ発行の背景には、スーパーインフレによる自国通貨の価値の大幅下落がある。より安定した価値を保てるよう、ペトロを発行したのだ。
この度行われたのは、最低賃金とペトロ価格の50%の連動だ。これによって、従来の最低賃金から約18倍にあたる126ボリバルに上昇。
日本円にしてなんと約3,200円にもなる。この事例は、仮想通貨を利用した「工夫」によって、自国経済の改善と安定をはかっていく良い成功例の一つとなるだろう。
先週のまとめと今後の見通しの考察
仮想通貨は、多くのユーザーにとって投資対象の一つだ。
しかしマクロで見た時に、仮想通貨は国を支える経済手段の一つともなり得ることを今回の例が示している。
ウクライナやロシアでも、法定通貨が使えない状況を打開するべくビットコインが選択された。
仮想通貨規制が増えていく中で、スイス・ルガーノやベネズエラのように仮想通貨によって町や国を形作っていく方法は、今後様々な国によって踏襲されるだろう。