投資家なら知っておきたいダウ理論6原則&仮想通貨の主なファンダメンタル

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今回は、投資家としてはぜひ知っておきたい知識であるダウ理論6原則と、仮想通貨の市場でのみ見られる特有のファンダメンタルについて解説をしていく。

必ずしもダウとビットコインは連動しているわけではないが、知っておいて損はないはずだ。なぜなら、前提として投資は人が行なっているもので、市場が違っても人の根本的な心理は変わらないからだ。

ダウ理論とは何か

早速本題に入るが、ダウ理論とはそもそも何か。ダウ理論は、チャールズ・ダウが19世紀に提唱したチャート予想の理論である。テクニカル分析の基礎として、現在でも用いられている投資の重要な考え方だ。

その理論のポイントは、6つの原則に集約される。さっそくみていこう。

原則1:平均株価はすべて事象を織り込む

これは、チャートの分析における基本的なことを示す原則である。どんなチャートであっても、その動きには必ず理由がある。そして、それらの理由はすべてチャートに反映されるという基本原則だ。

例えば価格が下がった時。これは、投資家がその株や通貨を売りに出したことを示す。その売りを決めさせた理由は企業の決算報告の悪化だったかもしれない。アメリカであれば、CEOがtwitterで不適切な発言をしただけでもチャートは変動する。

チャート上の値動きの背景には必ず何らかの理由が隠れていて、一つ一つの理由がすべて統合された結果として価格の軌跡が作られる。この原則、平均株価はすべての事象(理由)の反映であるということを忘れてはならない。

原則2:トレンドは短期・中期・長期に分類される

チャートを時間軸で変えて見比べると分かるように、1ヶ月や5日などの区切りごとに特徴的な波を発見できる。つまりトレンドだ。自分がトレードをする際には、どのトレンドを狙うのか、立ち位置と意図をはっきりさせないと投資はうまくいかない。

例えば「短期で大きく上昇しているから今後は一時的に下がる」と読み、「直近の利益を狙うために売りで入る」という考えでデイトレードをするのと、「ここ数日の短期では大きく上昇しているが、1年単位の長期的に見ると実は価格は数%減少している。よって、なぜ長期で下落しているのか要因を先に探り、上昇のタイミングをみて買う」と考えるのでは、エントリーの仕方が変わってくる。

つまり、短期、中期、長期で価格の動きをみてそれぞれのトレンドを把握し、どの波に合わせて立ち回るのかを先に決めることが大切だ。

原則3:主要なトレンドは3段階存在する

トレンドは先行期、追随期、利食い期の3段階に分かれる。

まず先行期は大口投資家などが一気に買いに入り、徐々に価格が上がっていく段階である。そのあと、そうした大口投資家の動きに反応した投資家たちが買いに入るのが追随期で、最後に一般の方たちも反応して価格が一気に上がるのが利食い期である。

トレンドに短期、中期、長期という時間軸の違いがあるのと同様に、各トレンドには段階があるということを認識して今そのどのフェーズにいるのかをしっかりと見極めることも忘れてはならない。

原則4:価格は相互に確認されなければならない

例えば、石油産業が好調であれば石油を大量に使う旅行業は好調になる。ユニクロなどのSPFが好調なら、背後にある繊維業ももちろん好調になる。自動車であれば、メーカーが不調ならもちろんその関連会社は同じく値下がりするだろう。

このように、相関性のあるものをしっかりチェックすることで、より正確にチャートを理解することができる。これが原則4だ。

関連企業や一見関連のない市場の価格もチェックし、全体を俯瞰しよう。

上がるはずなのに上がっていない、下がるはずなのに下がっていない。同じマーケットにいながらそのような特殊な値動きの企業を見つけたら、チャンスかもしれない。

原則5:トレンドは出来高でも確認されなければならない

トレンドは日本語で流行り。出来高とは取引量だ。

つまり、トレンドが正しいときは取引量も増えるということである。少しでも高くなったら売りたい人は増えるし、少しでも安くなったら買いたい人は増える。上昇/下降トレンドがあるのであれば、価格に連動して出来高は大きく伸びるはずである、という理論だ。

トレンドがただのハッタリであれば、出来高はそこまで増えない。ハッタリでないならば出来高がしっかりと確認できる。

急激に上下しているチャートを見かけたり、上昇・下落を続けているチャートを見かけたら、あわせて出来高も見る癖をつけよう。トレンドの真偽を見極める重要な指針である。

原則6:トレンドは明確な転換シグナルが出るまで続く

チャートでトレンドができた時には、明確な転換シグナルが出るまで続くとされる。つまり、流れが変わるポイントが見つかるまで上昇・下降トレンドが続く、という理論だ。

転換シグナルの例を1つ挙げよう。上昇トレンドの際、価格は上下を繰り返しながら伸びていくが、価格が上がった際に前回の高値に達しなかった場合が転換シグナルとされる。これは下降トレンドでも同じことが言える。上下しながら徐々に下がっていき、前回の安値に達しなかったところが転換シグナルだ。

必ずしもその限りではないが、なぜ前回の高値・安値を超えなかったのか、そこには原則1で触れた何か理由があるかもしれないし、出来高に動きが出ているかもしれない。相関する市場に不自然な動きがあるかもしれない。

転換シグナルか否かを見極めて、トレンドをうまく判断することも大切である。

仮想通貨のみに見られるファンダメンタル分析の特徴は?

こうしたダウ理論は仮想通貨のチャートでも十分に活用できる部分がある。時間軸によるトレンド分析、タイミングの検証は大いに役立つだろう。

一方、トレンドを形成する理由は背景については、仮想通貨ならではの事情を知っておくとよりチャンスが見つかるかもしれない。

仮想通貨には、株や為替にはない特有のイベントが存在し、価格はその影響を大きく受ける。

そのイベントの一つは半減期だ。

半減期とは、仮想通貨のマイニング報酬(送金手伝いによって発生する手数料)が、半額になるタイミングを指す。

例えばビットコインの場合。ビットコインは総発行枚数があらかじめ決まっていて、一気に流通量が増えて発行されてしまうと1BTCあたりの価値が急落して、インフレを起こしかねない。そのため、マイニング報酬が一定ごとに半額になるようにあらかじめプログラムに組み込まれていて、半減期を迎えるとマイナーの報酬が下がって価値が保てるように設計されている。

そして、BTCチャートは半減期ごとに大きな値動きを起こしており、半減期の手前で価格が上昇、半減期後に一時的に下降、そしてまたじわじわ伸びる、というサイクルを繰り返している。つまり、こうした流れを知っていれば、チャートのトレンドが今どのような状態かある程度予測でき、まったく無知のトレーダーに比べてうまくチャンスに乗れる可能性が高くなるだろう。

また、仮想通貨はダウ理論の原則5「トレンドには出来高が伴う」が通じないケースも多い。取引量の多いトレンドが、株やFXのチャートとは逆のサインになることがある。加えて、なにか事件が起きた際に価格が大きく変化することも仮想通貨ならではの特徴の一つだ。仮想通貨はもともとボラティリティ(変動)が大きいため、ニュースは随時チェックしなければならない。

仮想通貨はまだまだ市場が小さく未成熟であり、ダウ理論が通じる部分と通じないところがある。しかし、マーケットが拡大することで理論通りに近づいていくと考えられるため、仮想通貨業界全体のトレンドを把握しながら、個々の通貨の流れを見ることが大切だ。

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