少子高齢化が止まらない日本では、2065年に労働者人口が現在の4割にまで減少することがわかっている。
人手不足が加速する中、新たな働き方を模索し生産性を上げていこうとする動きは絶えない。
今回紹介するメタバース労働もその一つだ。
メタバース内で働くことができるようになった場合に生まれるメリット、そして課題はどのようなものがあるのか。
そして現在はどういった状況なのか、今後広がっていくと予想されるメタバース内での労働について紹介していく。
トピック:パソナがメタバース事業へ参入
1月7日、人材派遣業などを中心に手掛ける株式会社パソナがメタバース事業へ参入することを発表した。
パソナはメタバース内で新たな働き方や雇用のあり方を創り出すことを目的に掲げている。
メタバース内で雇用を生み出すことができれば、年齢や体力に関係なく自分に合った働き方をすることができる。
また、障害や病気を抱えている人も働く上での負担を軽減することができるだろう。コロナ禍では「リモートワーク」が随分普及し、日本人の働き方も大きく変わってきたが、さらに1歩先へ行く新しい働き方が生まれることは、今後少子高齢化による大きな影響を受ける日本にとっては希望となり得る。
トピック: 広がるメタバース労働の大きなメリット
メタバース内での新たな働き方に対して事業を広げているのは、パソナだけではない。
三越伊勢丹は、メタバース内にリアルと同じような百貨店である「REVWORLDS」を展開。店舗案内や操作方法を説明するスタッフを募集している。
また、こうしたメタバース内でのアルバイトスタッフを募集するマッチングサービスも既に存在する。moon creative labが提供する「メタジョブ!」だ。
同サイトはまだβ版とはなっているが、既にいくつかの募集案件が掲載されており、どれも自宅から出ずに働くことが可能となる。
こうしたメタバース労働のメリットは、労働者の身体的負担の軽減にある。
新型コロナの影響を受けたリモートワークの普及によって自宅で仕事をしている人も以前よりは増えたが、毎日満員電車に揺られながら自宅と勤務先を往復している人はまだまだ多い。
そうした通勤時間や通勤にかかる身体的負担を削減することができるのは、メタバース労働ならではのメリットだ。
こうした利点はさらなる利点を生み出す。
病気や障害、介護などの理由によって家から出ることが難しい人でも、気兼ねなく働くことができるようになる。職場や同僚への迷惑を考えずに、自分のペースで働くことが可能となるのだ。
メタバース内でのアバターを利用した労働にもメリットは大きい。自分の姿を相手に知られることがないため、従来ではなかったプライバシーの守り方ができる。
トピック:今後拡大していくと予想されるメタバース労働の課題とは
労働者がメタバース内で働く場合には、相応のツールが必要となる。
パソコンやスマホはもちろんのこと、指定されるソフトに対応し得るスペックは必要だ。
こうした労働者側、初期費用は発生してくるだろう。
企業側として心配なのは、労働者が適切な労働をしてくれるかどうかだ。時間を守ってログインをしてくれるか、きちんと連絡がとれるかどうか、それらは雇用契約の中でしっかりと明記されるものではあるが、アルバイト・遊び感覚で参入してくる労働者たちの中にはそうしたモラルがない場合もあるだろう。
また、逆も然りだ。雇用側がルールを無視して労働者を扱うパターンも予想される。現実でも起きていることだが、メタバース内でもこうした労働問題は起きていくだろう。
そうなった時に、今後だれがどのように対処していくのかという問題を少なくとも孕んでいる。