先週ビットコインはまたもや史上最高値を更新し、約785万円まで到達した。
前回は今年10月20日に最高値を更新したばかりで、1ヶ月もしない内に3000ドル近くを上書きする形となった。今回は、史上最高値更新の背景にある米のインフレについての話題と、予定されている大型アップデート情報、そして期待されていたビットコインの現物ETF承認延期について、詳しく紹介していく。
先週のBTCチャート(11月8日~11月14日)
先週は、10日に史上最高値を更新したものの、その後急落。780万円台から一気に705万円程度まで価格が落ちた。
その後、720万円から750万円の間をもみ合い続けている。急落の背景には、テーパリングによる長期金利上昇を理由にした米株の失速や中国恒大集団絡みの大規模ロスカットが発生したことが挙げられる。中国の仮想通貨全面禁止の影響はまだまだ続いていることがわかる。
トピック: ビットコイン史上最高値更新、6万9044ドル
ビットコインは先週10日、6万9044ドルで史上最高値を更新した。米と中国のインフレ懸念が広がったため各投資家たちによるインフレヘッジが背景として考えられる。
テーパリング発表後には大きな影響を受けることなく価格が推移していたビットコインだが、10日発表されたCPI(消費者物価指数)によって大きく動かされた。CPIは市場予想を上回り、前年同月比6.2%の上昇となったのだ。
これによって投資家たちはインフレ懸念を強め、10日のビットコイン史上最高値更新となってその心理が現れたのである。
トピック:ビットコイン「Taproot」始動、4年ぶりの大型アップデート
先週のビットコイン関連のビッグニュースは史上最高値更新だけではない。4年ぶりに大型アップデートが行われたのだ。
今回のアップデートは2017年に「SegWit」と呼ばれるアップデートが行われて以来である。「Taproot」と呼ばれる今回のアップデートでは、マイニングにおける署名方式を変更しプライバシーとセキュリティを向上させることに成功した。
また、スマート・コントラクトの速度向上やコスト低下も期待されている。アップデートは14日時点で完了されたが、市場に大きな影響を与えたわけではなさそうだ。
トピック: ビットコイン現物ETFに待った、SECが承認延期
12日の一時的な価格下落の背景にあるのが、SEC(米証券取引委員会)によるビットコイン現物ETFの承認延期だ。今回承認が延期されたのは、資産運用会社であるVanEckのビットコイン現物ETFだ。
9月にも承認を延期していたが、再延期となる。SECは今回の延期理由として、ビットコインの価格操作への懸念や投資家たちを詐欺などから守る仕組みが不十分であると述べている。
10月にはビットコイン先物ETFが初めて認められ、価格が大きく上昇した。先物ETFの承認が続いたことで波ができ、このまま現物ETFの承認へも期待が大きくなっていたところだった。
今回延期が決まったのはVanEckの現物ETFだが、現在SECに申請を出している企業は複数あり、これらにも大きな影響を与えると予想される。残念ながらビットコイン現物ETFは先物ETFとちがってスムーズには事が進まなさそうだ。
しかし現物ETFの承認が下されれば、市場に大きな影響を与えることは間違いない。しばらくは様子見が続くだろう。
先週のまとめと今後の見通しの考察
またもや史上最高値を更新したビットコインだったが、その価格はすぐに下落し横ばいの推移となった。価格上昇の背景には、米や中国のインフレ懸念の強まりがある。今回のCPIなどの結果を受けて、長期金利の引き上げが早まれば市場にまた影響が出てくるだろう。
ビットコイン自体は、大型アップデートの完了や現物ETFの承認延期など、プラスにもマイナスにも話題に事欠くことはない。それだけ多くの人々が注目していると言っても過言ではないだろう。
現物ETF承認については、年内に動きがある可能性は低いためしばらくは様子見となる。今後は段階的に行われるテーパリングにともなった価格の推移に注目だ。なお、アップデート完了後には大口投資家の利確も想定されるため、価格変動には引き続き注視すべきだろう。