NFT盗難に対するポリシー改定のOpenSea、不利益を被る第三者救済になるか

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大手NFTマーケットプレイスOpenSeaは、NFT盗難に関するポリシーの改定を発表した。改定の背景には、これまでNFT盗難と無関係なのにも関わらず、所有するNFTが凍結され不利益を被ってきたユーザーたちの不満の声がある。

今回は、OpenSeaに対して起こされた一つの訴訟と今回の改定について紹介し、一連の流れについて考察していく。

米弁護士Jesse Halfon氏が訴訟、OpenSeaのポリシー変更を求めて

米の弁護士であるJesse Halfon氏は、今月5日OpenSeaに対してポリシーの変更を求める訴訟を起こした。

https://twitter.com/jesseshalfon/status/1555245981972709376?s=20&t=PQw_3Ni8aZmQQhxfLEvDfw

この当時OpenSeaのポリシーでは、盗難されたNFTに対する全ての取引が停止されることとなっていた。つまり、盗難NFTと知らずに購入した第三者が、そのNFTを転売・譲渡しようとしても、できなくなるというシステムだ。

一見すると、NFTを盗まれた側にとっては有効な措置のように思えるが、盗難NFTと知らずに手にした第三者にとっては大きな損失となる。販売はおろか、手放すことさえできないとなれば、一体何のために手にしたのかわからなくなってしまう。さらに第三者が不利益を被るにもかかわらず、盗んだ当人は利益を得てしまう仕組みなのも問題だ。また、NFTが凍結されることにより、盗まれた本人にNFTが戻ることがなくなってしまう。

OpenSea側は、このポリシーの制定理由を、以下のように語っている。

  • 故意に盗難されたNFTの流通に関わることは、米国の法律に反する
  • OpenSeaで盗難NFTのブロックを解除することで、盗難を助長したくない

この問題は、相次ぐOpenSeaでのNFT盗難・販売事件を受けてユーザーの間でも広まっている。これに対して、NFTやDAOに詳しいJesse Halfon弁護士が訴えを起こしたのである。彼は、盗難NFT以外の通常のNFTさえも、OpenSeaが凍結し権利を侵害していることを主張している。

OpenSeaがポリシーを変更、盗難NFTの凍結を解除

こうした訴訟の動きもあってか、OpenSeaは11月時点でポリシーの変更に関する発表をしている。

一連の発言から、今後のポリシーは以下のようになることが読み取れる。

  • 警察による報告書を必ず使用する
  • NFT盗難後7日間以内に警察へ連絡がない場合、該当NFTの流通を再開する
  • 盗難を報告したユーザーがNFTを回収したり盗難報告を取り下げたりした場合、よりスムーズに手続きを行えるようプロセスを簡略化する
  • NFT盗難の根本的解決のため、疑わしいURLを自動でブロックするなどのシステムを構築中

大前提として、OpenSea上でNFTの盗難に遭った場合、警察に届け出る必要がある。警察による報告書を必要とする旨について記載があるため、警察に盗難事件として扱ってもらう必要があるだろう。

OpenSeaは警察による報告書を受けて、盗難NFTについて判断。もしも警察へ届け出なかった場合、盗難NFTであっても流通を再開するという。これによって、これまで盗難かどうか不確定な状態で凍結されていたNFTが流通可能となる。

これは、先ほど触れたJesse Halfon氏が起こした訴訟で求められているポリシー変更に近いものがある。

ただし、日本でNFT盗難を警察が取り扱ってくれるかどうかは些か疑問である。NFTに関しては特に、法整備が不十分な状態だ。日本だけでなく、世界各国で警察による対応は大きく変わることが予想されるため、波紋を呼びそうだ。

さらに、OpenSeaはポリシー改定にともなって、上記対応を行うのは今後盗難が発生したNFTに対してであり、過去に凍結されたものは含まないとしている。

OpenSeaでは盗難事件後に取引量が大幅減少

OpenSea内では、兼ねてより多くのNFT盗難事件が発生している。特に今年2月に起きた約2億円相当のNFT流出事件は、大きな衝撃を与えた。当時、システムのアップデートを狙ってOpenSeaに対してフィッシング攻撃が相次いだ結果、多くのユーザーが巻き込まれる形となり落札額0円の不正なトランザクションが行われたのである。

この事件直後の1週間、OpenSeaの取引量は約37%、ユーザーは19%減少。プラットフォーム自体も大きな打撃を受けている。

今回、ユーザーの不満の声が届き、ポリシー改定に至ったOpenSea。しかし、これまでの流れを見るとまだまだNFT盗難に対しては様々な意見がある。特に、今回の改訂では警察の協力を仰がなければならないことが大きなネックとなりそうだ。

それでも、これまで不正にロックされて被害を受けてきた無関係の第三者が、盗難事件に巻き込まれることが減るなら、今回の改定の成果となるだろう。

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