日本政府はこれまで遅れていた仮想通貨関連規制に関して、今年入ってようやく着手している。トラベルルールの導入を皮切りとし、今回はマネロン対策の規制だ。
本記事では、今回閣議決定された仮想通貨関連規制を中心に、他2つのトピックをお伝えする。
トピック:日本政府、今国会で仮想通貨マネロン対策の強化成立を目指す
14日、日本政府は外国為替法に関連する6つの法律改正案について閣議決定した。大きな目的は、マネーロンダリング対策だ。
今回の閣議決定の中には、仮想通貨関連項目もある。仮想通貨交換事業者は、ユーザーの氏名などの個人情報を確認し、事業者間で通知を行う義務を課されることになる。要するに、マネロンに携わった者の情報を業界で共有することを義務とするということだ。
仮想通貨については、国内だけでなく海外利用者によるマネロンも行われる可能性が非常に高い。これを未然に防ぐためには、マネロン関連の法案の強度を上げる必要がある。
現に今回の閣議決定では、マネロンに関わる罪に対する法定刑の引き上げや国連が指定した組織や人物の資産凍結など、強化する内容が目立った。
今回の法律強化はプロセスの一環であり、今後も強化は続くことが予想される。これは、安全に仮想通貨取引ができる環境整備ともいえる。
海外ほどの自由度はないが、国内で安全に仮想通貨取引を進められる地盤が着々と形成されていると見て、引き続き動向を見守っていく必要がある。
トピック:DMC(ドミニカコイン)発行のドミニカ国
ドミニカ国と聞いて、ドミニカ共和国を思い浮かべる人が多いだろうが、これは別の国である。ドミニカ国は、カリブ海に浮かぶ人口約7万人の小さな島国だ。
この国では、トロンブロックチェーンが公式に採用され、国としてDMC(ドミニカコイン)を発行することが発表された。
DMCの一義的役割は、ドミニカ国の自然遺産の認知度を世界へ広めることと観光名所を拡大していくことにある。さらに将来的には、インフラ強化と農業や他の革新的技術開発の実現のための大きな基盤とすることを想定している。
今回トロンチェーンを使うことによって、ドミニカ国内ではトロン上で発行されるTRX(トロン)をはじめとする7種類の通貨を利用して税金やサービス料金の支払いを行うことができるようになる。これに伴って、次の7種の通貨がドミニカ国での法定通貨と認められることとなった。
TRX、BTT、JST、NFT、USDT、USDD、TUSD
昨年エルサルバドルでは、ビットコインを法定通貨に採用し大きな話題となったが、アルトコインが法定通貨として認められるのは今回が初めて。ビットコインを法定通貨とするエルサルバドルはIMF(国際通貨基金)から中止要請を受けている状況で、アルトコインはどうなるか。小さな島国の取り組みに注目が集まる。
トピック:Mango Marketsで約1億ドルが不正流出
12日、またもや大規模なハッキング事件が起きた。ソラナ上に構築されている分散型取引所Mango Marketsから、約1億ドルが不正流出したのだ。
今回事件を引き起こしたハッカーは、なんとMango Marketsコミュニティに和解案を提示。ハッカー側が4700万ドルを維持する形で、残りを返金する形となる。
この条件が飲まれることによって刑事告発自体はされない可能性が高いが、警察をはじめとする関連機関が放置するかどうかはわからない状況だ。
システムの脆弱性をついた大型ハッキング事件が続く中、対策について検討が必要な状況だろう。
先週のまとめと今後の見通しの考察
仮想通貨に対する議論は行われていたものの、制度として整っていない日本。ようやくマネーロンダリングの規制強化という形で、動き出したように感じる。
マネロンだけでなく仮想通貨関連の税制など、整備が必要な部分は多岐にわたる。今回の閣議決定をきっかけに、仮想通貨関連の法整備が進んでいくことを願うばかりだ。