日本が世界に誇る産業のなかに、ゲームがある。
これまでも数々の名作を世に輩出し、世界中に愛されているゲームを作っている会社が多いのも特徴的だ。
代表的な企業はいくつもあるが、その中でも「スクウェア・エニックス」の名前を知らない者はいないだろう。
今回は、大手ゲーム会社スクエニの代表先「ファイナル・ファンタジーⅦ」のNFTが販売されるという大きなニュースをもとに、国内ゲーム産業とNFTについて考察していく。
ブロックチェーン事業に注力するスクエニの取り組み
スクエニは昨年より本格的に、NFTを含むブロックチェーン関連の取り組みに力を入れている。
昨年10月に試験的な取り組みとして、「資産性ミリオンアーサー」というNFTデジタルシールコレクションを販売し、好感触を掴んだ。
さらに今年2月には、ブロックチェーン・エンタテインメント事業部を新設、様々な取り組みが加速し始めている。既存のNFTゲーム「ザ・サンドボックス」内の土地も購入しており、同プラットフォーム内で「ダンジョン シージ」の展開を計画している。
このような取り組みの中でも、スクエニの代表作と言える「ファイナル・ファンタジー」や「ドラゴン・クエスト」関連のNFTの話は出てきていなかった。
そこへ、ついに「ファイナル・ファンタジーⅦ」のNFTが販売されると公表されたのだ。
「ファイナル・ファンタジーⅦ」のNFTが満を持して登場
厳密にはNFTが販売されるのではなく、「ファイナル・ファンタジーⅦ」のアクションフィギュアにNFT化されたデジタル正規品証明書とデジタル版フィギュア交換県が封入される形で販売される。
このため、商品のメインはフィギュアだ。
しかし、このフィギュアが正規品であることの証明書をNFTで発行し、かつデジタルでも楽しめるフィギュアを特典としてつけることで、特別感が生まれる。さらに今回は予約制で販売されるため、通常のNFTのように争奪戦になって買えなかったということが起きる心配もない。
付属のNFTやデジタルフィギュアを閲覧するためには、Enjin(エンジン)のプラットフォームを利用する必要がある。NFTが過熱する以前からエンジンは安定して需要の高いプラットフォームとして知られていた。
しかし、国内ゲーム会社との提携はこれまでにあまりなかったため、スクエニとの業務提携には驚きを隠せない。
国内ゲーム×ブロックチェーンへの期待
今回は「ファイナル・ファンタジー」との関連について触れたが、これから既存のビッグタイトルがNFTと絡めて展開していく流れになると、国内のゲームファンの多くがNFTを所有する未来がやってくるだろう。
既存タイトルとNFTの新たな取り組みの際に気になる点の一つに、どのチェーンを利用するかというものがある。最近では、国内発ゲーム特化型チェーンとして「Oasys」が話題になるようになった。7月6日には約25億円の資金調達が発表されており、国内ゲームとの提携が強く期待される。
現在NFTは、アートへの投資の手段の一つとして見られることが多い。
しかし今回の流れが盛り上がっていけば、日本が誇るゲームの人気と共にNFTが未認知層へと広がっていくだろう。どのような価値を見出すかは所有者次第だが、これもまたNFTの一つの在り方だと言える。今後、スクエニは元より国内ゲーム会社の動向には注視したい。