仮想通貨規制に関しては、度々取り上げてきた。
今回はEUの仮想通貨規制案MiCAの大筋合意に関するトピックを中心に、カンボジアでの規制についても紹介していく。また、大型アップデートを控えるイーサリアムのGray Glacier実装による現状についてもおさらいしていく。
トピック:仮想通貨規制案MiCAに大筋合意、EU
かねてより話題となっていたEUにおける仮想通貨規制案MiCAについて、大筋合意がはかれたことが明らかとなった。
本規制案の合意により、関連事業者はEU加盟国内での事業展開の際に認可が義務付けられたり消費者保護の徹底が求められたりする。
大きな問題となっていた仮想通貨マイニングについては、事業者に対して気候変動への影響についての情報開示を義務付けることで落ち着いた。
これまで仮想通貨規制に関する議論は各地で行われてきたが、MiCAはその先駆けとなるような規制案となった。成立は2023年となる見込みだが、この規制案が一つのモデルとなって各地で議論が深まることは言う間もない。
ただし、MiCAの中ではNFTについては触れられていない。つまり、今回の規制の中からNFTは除外されているのだ。
EUの規制関連の次の話題となることは明白だが、どのような扱いになるのかは慎重に議論されるべきだろう。
トピック:バイナンス、SERCと覚書締結で規制整備への助力を表明
大手仮想通貨取引所バイナンスは、SERC(カンボジア証券取引規制庁)と覚書を締結した。
これによりバイナンスが、カンボジア国内での仮想通貨規制に協力することが明らかとなった。
現在カンボジアでは、仮想通貨に対する規制がない一方で無認可での関連企業の活動は禁止されている状況にある。仮想通貨関連の活動は全て違法とされており、事実上仮想通貨の全面禁止となっているのだ。
こうした中で、仮想通貨のプロフェッショナルであるバイナンスが助力し、カンボジア国内での仮想通貨全面禁止を緩和、適切な規制を設けることが可能となる。
カンボジアは発展途上国の中でも近年、経済成長が速い国とされている。こうした国で積極的に仮想通貨事業が行われれば、仮想通貨や関連事業の発展に寄与できるという考えだ。
つまりバイナンスは、カンボジアが仮想通貨に対して開かれた国になるように手助けをしていくというポジションを得たのである。
バイナンスは一時、日本を含めた各国で警告を受けるなど規制当局との関係があまり良くなかった。しかし昨年末より大きく方向転換し、国と良好な関係を築きながらライセンス取得を重ねている。
カンボジアでの取り組みもその一つとして評価されるだろう。
トピック:「Gray Glacier」実装、イーサリアム
30日、イーサリアムチェーンにおいてGray Glacier(グレイ・グレージャー)の実装を完了した。
今回のアップグレードによって、ディフィカルティボム(難易度爆弾)の発動が100日程度遅くなることに成功した。
ディフィカルティボムは、予定されている大型アップデートに伴うPoWの稼働終了に必要なプロセスだ。ブロック生成の難易度を上昇させることで、マイニングを行なえなくすることができ、これによってPoWを終了させることが可能となる。
つまり、Gray Glacier(グレイ・グレージャー)実装により、PoW稼働終了が100日程延期されたと受け取ることができる。
イーサリアムのPoS移行は2022年中を予定されているが、予想よりも遅い時期の実施となりそうだ。
先週のまとめと今後の見通しの考察
EUでの仮想通貨規制が大筋整った。
これは一つのモデルとなり、各国への規制案の参考となるだろう。大きな話題となっていたマイニング規制については、ニューヨーク州ほどの厳しさがなく安堵の息が漏れる。
ただし、今後の動向によって規制改革は順次進んでいくことが予想されるため、予断は許さないだろう。仮想通貨規制があくまで仮想通貨をより良く利用するための指標として確立されることが望まれる。
バイナンスのカンボジア参入のように、仮想通貨に対する前向きな取り組みが各国で成されることを願うばかりだ。