昨年に続き、各国で仮想通貨の規制が活発化してきている。
今後どのような方向性で各国が動いていくかで、市場はまた振り回されるだろう。
今回は、中国による既存の法律解釈改正による新たな仮想通貨規制とEUによる規制案投票延期について、そして日本からは三菱UFJフィナンシャル・グループのブロックチェーン活用事業の停止のニュースについてお伝えしていく。
トピック:中国によるさらなる規制、仮想通貨による資金調達に刑事罰を
昨年、仮想通貨を国外追放し大きな話題となった中国が、さらなる規制を発表した。
正確には新たな規制を設けたわけではなく、既存の資金調達関連の法律の解釈の変更を発表したのだ。
これによって、資金調達手段として仮想通貨を利用することが禁止された。
今回の解釈変更による規制実施は、3月1日からになる。
以降は、仮想通貨による資金調達が判明した場合刑事罰を受けることとなる。
トピック:EUによる仮想通貨規制案は延期へ、投票日未定
兼ねてより仮想通貨に対する規制の強化について議論していたEUが、規制案に対する投票を延期したことが明らかとなった。
規制案の全貌は明らかにされていないが、リーク情報によるとPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用するコインの禁止だとされている。PoWといえば、仮想通貨の始祖ビットコインに用いられているコンセンサスアルゴリズムだ。
PoWについては、EU諸国だけでなく様々な地域で問題視されている。
マイニングのための計算量が膨大で、それに伴う電力消費などが環境へ多大な負荷をかけていることがわかっているからだ。PoWが禁止されれば、事実上EUではビットコインの全取引が禁止となる。
そうなれば、ウクライナに救いの手を差し伸べることも難しくなるため、しばらくは投票日は未定のまま時が過ぎると予測される。
トピック:三菱UFJフィナンシャル・グループ、ブロックチェーンを活用した決済事業の停止を発表
Global Open Network Japan(GO-NET Japan)が、進めていたブロックチェーン活用決済事業を停止することが分かった。
同社は、三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社にあたる。
2021年4月から始まったプロジェクトは、黒字に至るまで長時間かかることが見込まれ、今回の事業停止に至った。三菱UFJフィナンシャル・グループは、他にもブロックチェーン関連事業を予定しているが、今回の事業停止による影響はなさそうだ。
先週のまとめと今後の見通しの考察
各国で仮想通貨規制の話題が再び活発化しているように思う。
PoWが環境に与える負荷は議論の余地がないほどに多大であるため、禁止せざるをえない地域が出てきてもおかしくはない。それでも仮想通貨市場で先頭を走るのは、やはりビットコインなのだ。
こうした環境負荷に対する改善策は、通貨の取扱い禁止だけではない。エルサルバドルでは、火山エネルギーを使ってビットコインマイニングを行うことを昨年時点で発表していた。
このような、仮想通貨が環境に与える負荷を軽減する手段を考え、実施することは環境そのものの保全につながるのかもしれない。