先週のビットコインは、週半ばまで順調に上昇傾向を維持したものの、7日に下落傾向へと転じた。原因は、9月の米国雇用統計の発表だ。
今回は、米国雇用統計の発表によるビットコインへの影響と、他2つのトピックについてお伝えしていく。
先週のBTCチャート(10月3日~10月9日)
週頭に270万円台からスタートしたビットコイン。半ばまでは価格を伸ばし、294万円のラインを一次突破した。
しかし価格を維持できずに下落へと転じ、週末は280万円台で揉み合いを続ける形となった。
これまでの傾向を見ると、10月はビットコインにとって良い値動きを見せる月だ。これに対し今年は、現時点までの様子を見ると、これまでの歴史を覆す不調具合といえる。
トピック:米国雇用統計発表でビットコインも下落
7日、9月の米国雇用統計が発表された。
今回の雇用統計では、失業率が3.5%に低下。平均時給は0.3%上昇の32.46ドルとなった。1年を通してみると、平均時給は5%も上昇したことになる。
失業率は低下していながらも、米国内では現在人手不足が続いており、労働力の確保のため賃金が上昇する予測もある。
これらを踏まえて、米中央銀行は今後利上げを継続する見方が強まった。利上げの継続は財布の紐を固くするため、ビットコインは売りが優勢となり7日の雇用統計発表後に下落を見せた形となる。
トピック:ビットコインとゴールドの相関関係が最高値に
3日にKaikoが発表したリサーチによると、ビットコインとゴールドの相関関係が1年間の中で最高値にに達した。
相関係数が上昇することで、ビットコインとゴールドが同じような値動きを見せていることに対して、信頼性が高まると言える。しかし、今回最高値に達したとは言え、今後も同じような係数で値動きを続けるとは限らない。
今年の7月から見ると、相関係数は上昇傾向であったと言える。しかし、それ以前を見ると、相関係数0.0を下回ることも多く、何とも言えない形となっている。
ただし今回の記録によって、今後ビットコインとゴールドの相関関係にはより注目が集まることが予想される。
トピック:ビットコインライトニングネットワーク上で分散型金融サービスを展開
フルグル合同会社は、Diamond Handsコミュニティの支援を発表。これによりDiamond Handsコミュニティは、RGBプロトコルを利用した簡易ウォレットの開発と日本語での技術情報発信をスタートさせることとなる。
Diamond Handsコミュニティは、日本最大級のライトニングネットワークユーザーによる開発者コミュニティだ。昨今需要が高まるライトニングネットワークの機能を拡張できるのが、RGBプロトコルである。
米国ベンチャーキャピタルFulgur Venturesの日本法人、フルグル合同会社によって支援されることで、ライトニングネットワークの普及を加速させる様々なサービスが展開されるだろう。
RGBプロトコルは、ビットコインネットワーク上でスマートコントラクトを実行することができる。これを活用することで、ブロックチェーン上で行われる送金履歴の記録やコントラクトの実行が、オンチェーンではなくオフチェーンで行われることになる。
RGBプロトコルは、ブロックチェーンの良さでもあり気がかりでもあったオープンな記録によるプライバシーの欠如などを筆頭に、ビットコインが抱えていたスケーラビリティ問題を解消する手段の一つとして注目されているのだ。
先週のまとめと今後の見通しの考察
ビットコインは先々週大幅に価格を落としたものの、先週は7日途中まで上昇傾向を維持した。残念ながら、9月の米国雇用統計の発表によって利上げ継続に対する警戒感が強まり、価格は下落。週末もふるわない結果となった。
今年は、利上げへの警戒感が強まるような数字が各所から上がってきており、同じ動きを繰り返している。残り2ヶ月半で、ビットコインはさらに同じ動きを繰り返すことが予想される。利上げが落ち着くまでは、ビットコインにとって寒い季節が続くだろう。