300万円台への回復ができなかった先週のビットコイン。2日には、米雇用統計が発表された。注目が集まる重要指標の発表は、市場に大きな影響を与えるため、大きな注目が集まる。一体どうような結果だったのだろうか。
今回は、米雇用統計発表後の動きとその他2つのトピックについてお伝えしていく。
先週のBTCチャート(8月28日~9月4日)
先週のビットコインは、300円万円台に戻れず週末に向かって278万円ライン付近で揉み合う続く形となった。
週頭は272万円ラインを割る下落を一時見せたが、その後は回復。しかし、300万円までは届かず、週末に向けて下落傾向となった。
トピック:米雇用統計発表、ビットコインの動向
9月は次の日程で重要指標の発表がある。
2日…米雇用統計
13日…CPI(米消費者物価指数)
21日…FOMC(米連邦公開市場委員会)
先月は、ジャクソンホール会議におけるパウエル議長の発言で市場が揺れ、安定していた価格を大幅に落とす結果となった。同様に、今月発表の3つの重要指標の結果によっては、また市場が大きく揺れる可能性がある。
2日に発表された米雇用統計では、非農業部門雇用者数以外の部門で市場の予想を下回る結果となった。全体的に見ると失業率上昇による市場需給緩和が予想され、インフレの鈍化に期待感が高まる形となる。ただし、先月のジャクソンホールでの発言にある通り、鈍化はすぐに行われる見通しではない。
ビットコインは雇用統計発表後、今週高値である286万円のラインまで価格を伸ばしたものの、その後急落。急落原因は雇用統計ではなく、別のところにある。
トピック:シンガポール金融管理局長官がビットコインに警告
シンガポール金融管理局長官ラヴィ・メノ氏は、ビットコインをはじめとする仮想通貨は「お金」としての機能を有していないとして警告を発した。
同氏は、IMF(国際通貨基金)への意見書の中で、上記の意見について記述。仮想通貨はお金の持つ3つの機能を持たないことと、投機商品として扱われていることを指摘。資金洗浄などを助長する手段となるとして、規制の必要性を訴えた。
一方で、ステーブルコインは決済手段として大きな期待感を持っている。ステーブルコインを容認し、流通させるためには現在以上の管理と規制を要するが、スピーディーな決済と国際送金の役割を果たすことに関して期待できるとしている。
トピック:ビットコイン送金で詐欺、50代男性が2,000万円相当の被害
長野県上田市の50代男性は、2,000万円相当のビットコインをだまし取られる詐欺被害に遭った。
男性は、インターネット上に表示された投資広告からの申込みによって、投資関連会社社員を騙る漢から携帯電話に連絡を受けた。この時、ビットコインで利益を出せるなどと誘いを受けている。
これをうけて被害男性は、今年の3月から7月の間に10回にわたって指定されたアドレスへビットコインを送金。総額2,000万円相当にものぼった。
しかしその後、送金先の男から投資に失敗したとの連絡を受け、調査。男が騙った会社は架空の物であることが判明した。
仮想通貨を利用した詐欺は、このような形でも横行している。投資広告やサイトへのアクセスには、十分気を付ける必要がある。
先週のまとめと今後の見通しの考察
ビットコインは300万円台に戻ることはできず、週末278万円台で着地。2日の米雇用統計を乗り切り、来週はひとまず落ち着いたひと時となりそうだ。揺れ動くビットコインに対して、シンガポールではお金として見なすことができないという警告が出されている。
このように、ビットコインをはじめとする仮想通貨に対して不信感を持つ管理局は少なくない。確かに、ビットコインを使った詐欺やマネーロンダリングは日常的に横行しており、十分な整備が余儀なくされている状態といえる。