先週のビットコイン市場は言わずもがな、テラショックの大きな影響を受け大暴落となった。
今回の記事では、テラショックの概要を紹介すると共に、大きなニュースの影になって埋もれてしまっている日本企業の取組について紹介していく。
先週のBTCチャート(5月9日~5月15日)
前々週、週末は470万円台付近で着地したビットコイン。
その時点で下落傾向となっており、価格の回復が望まれていた。先週のビットコインチャートを見ると、400万円台を切る大幅な下落を見せていることがわかる。誰もが既に知っている、テラショックによるものだ。
先週のチャートが表しているものは、ほとんどがテラショックによるものであり市場の阿鼻叫喚である。
トピック:仮想通貨市場に激震、テラショックとビットコインの大暴落
今回起きたテラショックについて、ここでは詳細を説明することができない。このため、概要と現在の状況の紹介のみになってしまうことを最初にお断りしておく。
今回の仮想通貨市場全体の下落を引き起こしたのは、ステーブルコインテラ(LUNA)の裏付け資産であるテラUSD(UST)の価格乖離である。
発端は7日、日本時間の午後6時にUSTの大口出金が確認された。
この時出金された額がとんでもなく、1日で約14億ドルにも達したのである。これは、通常時の6倍にものぼる量だ。
しかも出金はこれだけに留まらず、追加で約2億8500万ドルぶんもの売却が発生した。
この大量出金と売却によって、7日午後10時にはUSTが1ドルを割るという価格乖離が発生。これにともなって、LUNAの価格も10%程度下落した。
その後、市場の安定のためLFG(Luna Foundation Guar)によって様残な施策が行われるも、その中でLFGのビットコイン残高が0になったことにより、市場は急速に売りの流れへ。
時価総額ランキング上位に君臨していたLUNAは、瞬く間に転落を見せた。8日時点で約2兆9000億円あった時価総額は、13日には85億円となっている。
6日に遡ると、1万円台をキープしていたLUNAの価格は現在、0.003円程度と全くの無価値になってしまった。
この転落劇に伴い、12日にはバイナンスがLUNAの証拠金取引を停止、13日にはついに現物上場の廃止を決定する事態となった。
LUNAが価格を落とすと、引きずられるようにビットコインをはじめ各通貨も下落。
仮想通貨市場全体に不安が広がる事態となり、それはまだ収まっていない。このまましばらく、仮想通貨市場全体が冷え込んだままだろう。
LUNAの復興に向けて、テラチェーンの再構築が提案されているが、ほぼ無価値になったLUNAがどうなっていくのか、注目が集まる。
トピック:Fintertech株式会社、国内初暗号資産担保型不動産ローンサービスを提供開始
13日、LUNAがすっかり無価値になった裏で、国内初の暗号資産担保型不動産ローンサービスの提供が開始した。
提供元は、Fintertech株式会社である。
同社は、ブロックチェーン技術等の最新テクノロジーを活用して次世代金融サービスを創出することを目的に掲げており、今回のサービスはその内の一つにあたる。
本サービスでは、ビットコインやイーサリアムを担保として融資を受けることが可能となり、所有する仮想通貨を手放すことなく日本円での資金調達が可能になることが売りだ。
トピック:野村証券が国外でビットコインデリバティブ取引の提供スタート
野村証券は13日、シンガポールを拠点にアジアでビットコインデリバティブ取引の提供スタートしたことを発表。
同プロジェクトは、米大手デリバティブ取引所であるCMEとマーケットメイカーであるCumberland DRWとの提携によって実現された。
同サービスは、日本国内で受けることができない。
国内企業が仮想通貨関連サービスを提供する場合、海外を中心に据えていかなければならない国内環境に、疑問が持たれる。
先週のまとめと今後の見通しの考察
今回の市場下落の背景には、ステーブルコインLUNAの崩壊があった。なかなか一口に説明できるものではないが、概要は伝わったのではないだろうか。
仮想通貨はその特性をもって、今回のような突然の崩壊と他への凄まじい影響を引き起こすことが改めて認知されたにちがいない。こうしたリスクを背負いながらも、仮想通貨市場の未来を見据えて多くのユーザーが再び立ち上がっていくことだろう。