ビットコインは先週、一時420万円台まで下落を見せたがその後回復し、500万円台を突破した。
しかしこの価格を維持できずに再下落、背景にはロシアによるウクライナ侵攻がある。
今回は、500万円台からの急落の背景についてと、ロシアに対する仮想通貨取引規制、そして日本での法律改正案について紹介していく。
先週のBTCチャート(2月28日~3月6日)
3月に入る直前から価格を盛り返し始めたビットコイン。
先週は、500万円台を維持しながらもみ合いを続ける場面が長く続いた。しかし5日を迎える前に下落を見せ、週末は440万円台付近で着地した。
トピック:ビットコイン500万円台から下落の背景は
500万円台への急騰の背景には、やはりウクライナ情勢がある。ウクライナ・ロシア両国でビットコインの需要が急増し、取引量が増えていることが大きな要因だ。
ところが、ビットコインは500万円台を維持できずに下落した。
この背景にはなにがあるのか。
2日、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、ついに利上げについて言及。3月には利上げをスタートすることが示唆されが、この時点で価格は大きく変動していない。
現状、価格変動はウクライナ情勢によって大きな影響を受けている。ビットコインが下落した4日、ロシアは欧州最大級の原発に対して攻撃。
これが今回の下落の大きな要因と考えられる。
トピック:ウクライナ情勢による取引量の増加も、ロシアへの仮想通貨規制が話題に
24日にロシアがウクライナに侵攻してから、15日が経った。
両国の法定通貨は価値が下がり、ビットコインに流れているという話は前回も触れた。取引量の増加は2.5倍に達し、特に各国から経済制裁を受けているロシアにとっては抜け道となっている。
しかし多くの国は、この状況を鑑みてロシアが制裁回避するのを良しとしない。
1日に米財務省はロシアに対する仮想通貨取引の禁止を発表し、同日施行。EUは2日、オンラインでの財務相理事会にてロシアの制裁回避ができなくなるように、仮想通貨取引における規制を検討した。
日本でも同じように、金融庁とJVCEA(日本暗号資産取引業協会)が協議を行い、ロシアに対する仮想通貨規制を検討している。
各国によるロシアの経済制裁は、27日に発表されたSWIFTからの排除が中心だったが、このようにさらなる規制の強化が行われそうだ。これによって、増加したビットコインの取引量は一旦落ち着きを見せるだろう。
トピック:資金決済法等の改正案が提出されステーブルコインの流通が抑制
仮想通貨に関わる『資金決済法』や『金融商品取引法』の一部改正が行われようとしている。
4日、金融庁は関連法案の改正案を提出した。改正案の中には、ステーブルコインを「電子決済手段」の一つと定義することで、仮想通貨とは異なる物であると扱うことが含まれている。
これにより、国内でのステーブルコインの流通に歯止めがかかりそうだ。多くの仮想通貨ユーザーが願っている仮想通貨の課税制度に関しては、今回の改正案では触れられていない。
先週のまとめと今後の見通しの考察
侵攻開始から15日。仮想通貨を含めて金融市場は、ウクライナ情勢に翻弄されている。その裏では、日本での法律改正案の提出やスイスの一部でビットコインの法定通貨化など、相変わらず話題に事欠かない状況が広がっている。
揺らぐ世界情勢の中で、FRBは3月中の利上げを発表。これは恐らくそのまま決行されるだろう。利上げ開始とウクライナ情勢が絡み合って、市場がどのように動いていくかは予測がつかない。