2022年に入って早くも10日が経った。
多くの投資家たちが新年の幕開けとともに、今年は一体どのようなスタートを切るのだろうかと、期待と不安を抱えながらチャートを眺めていたにちがいない。
ビットコインは5日に500万円を割ったことで大幅な下落を見せ、残念ながら年初はネガティブなスタートとなった。
今回はビットコインが下落した背景とみられる政治的な要因と動向、そしてSECのETF承認延期について紹介していく。
先週のBTCチャート(1月3日~1月9日)
530~550万円の間を推移していたビットコインだが、5日に突如暴落を見せ一気に500万円を割った。
結局先週は471万円台まで下がり、その後も500万円台への回復はできなかった。
今週も同じような状態が続けば、投資家たちへの不安が広がり市場良くない傾向へと導かれるだろう。
トピック: ビットコイン暴落の背景にカザフスタンあり、マイニングへの多大な影響とは
今回のビットコイン暴落の原因の一つに、カザフスタンの政治的背景がある。
カザフスタンは中央アジアに位置する国で、有数の石油の原産国だ。このため、日本のエネルギー資源の下支えとなっている。
エネルギー大国ともいえるカザフスタンは、仮想通貨禁止以後中国に集中していたビットコインマイニング企業の新たな宿り木となっている。
これが今回のビットコイン暴落に大きな影響を与えることとなった。
現在、カザフスタンのビットコインマイニング産業はアメリカに次いで世界2位の採掘量となっているが、5日カザフスタン全土でインターネット供給が停止されたことで、同国に腰を据えるマイニング企業の約15%が稼働停止せざるを得なかった。
インターネット遮断の背景には、カザフスタン内での社会情勢が絡んでいる。現在同国内では、エネルギー価格が急騰しており多くの市民が不満を募らせている。
今回はこうした価格高騰に対するデモを行っていたが、そうした市民の暴動を見かねた政府が市民への情報を遮断するために意図的にインターネットを停止したという。
こうした不安定な情勢の中でビットコインマイニングを続けていくことはできるのか、不安が広まっている。マイニング企業は新たな宿り木を探さなければならないかもしれない。
トピック:FRBによるFOMCの議事要旨の公表が暴落のもう一つの要因か
今回の暴落の原因はカザフスタンの政治的情勢のみではないとみられている。
5日、FRB(連邦準備理事会)によってFOMC(連邦公開市場)の議事要旨を公開した。
今回の公表では、金融緩和によって8兆3000億ドルにまで増幅した保有資産を縮小していくために、早期に利上げを行っていく姿勢を見せた。
FRBは想定以上に速いスピードで金融縮小を行っていくと見られ、この好評をきっかけに金融市場では売りが加速した。
ビットコインも例外ではなく、現物売りが加速したところにカザフスタンの政治的情勢が重なったため、今回のような大幅下落を見せたと考えられる。
トピック: SECがNYDIGのビットコインETF承認を再延期、慎重な姿勢崩さず
昨年6月にNYDIGが申請したビットコインスポットETFは、承認が延期され来たる1月15日に期限を迎える予定だったが、SEC(米証券取引委員会)は再度延期を決めた。
これによって、承認期限は3月16日まで延期される。
また、SECは未登録証券を販売していたとして、Crowd Machine、Metavineの仮想通貨関連企業二社を起訴した。
このように、SECは仮想通貨に対して非常に慎重な姿勢を崩さず、特にETFに関してはまだまだ承認へ時間をかけていくだろう。
先週のまとめと今後の見通しの考察
衝撃的なビットコインの暴落は、カザフスタンの政治的情勢と米の金融縮小の加速を大きな要因として起きたものだ。
前回、FRBの動向に要注目という話をしたが、今後も予断を許さない。
長い期間行ってきた緩和によって膨らんだ風船は、縮小によって想定以上のスピードで萎んでいくようだ。
利上げは短期間で進み、財布の紐は固くなる。
しばらくは、ビットコインを含めて仮想通貨市場は日の目を見ないだろう。