先週は久しぶりにビットコインの価格が大きく上昇した週であった。今回は価格変動の要因となったと思われるニュースを取り揃えている。
先週のBTCチャート(7月26日~8月1日)
こちらが先週のビットコインチャートだ。約380万円からスタートしたものの、同日には約420万円にまで上昇。その後も440万円前後で推移して週末には460万円を超えるまで上昇した。
トピック:アマゾン、ビットコイン決済の導入報道を否定
アマゾンは、年末までにビットコイン決済を導入するというイギリス紙の報道を全面的に否定した。
アマゾンの広報担当者は26日、米CoinDeskにメールで「我々は暗号資産に興味を持っているが、暗号資産についての特定の計画をめぐる憶測は真実ではない。我々は引き続き、暗号資産がアマゾンでのショッピングにどのように活用できるかを探ることに注力していく」とコメント。
イギリスでの報道は、たった1人の匿名の内部関係者の発言を引用したに過ぎない。それにもかかわらず、多くの人は先週ビットコイン価格が上昇した理由の1つとして、この記事を挙げた。
アマゾンがビットコイン導入を否定してから価格は9%ほど下落。
しかしながらクラーケンインテリジェンスによれば、今回の一件は価格には無関係だとみなされている。アマゾンの否定によって「市場参加者がネガティブに反応するだろう」という思い込みが利益確定につながり、実際に相場がネガティブに反応したというわけだ。
トピック:ビットコイン取引高、6月以来の高水準を記録
ビットコインは6月中旬以来となる4万ドル超えを記録。アーケーン・リサーチのレポートによると、26日のビットコインの1日あたりの取引高が92億ドル(約1億円)に達し、6月22日以来の高水準となった。
ここ最近はウォール証券街の夏休みも相まって、ビットコインの取引高は減少傾向にあった。5月以降、ビットコインは3万~4万ドルのレンジにとどまり、勢いを欠いていた。
しかしレポートによれば、全体的に見て7日間の平均取引高は依然として年間平均を大幅に下回っている。「ビットコイン取引は、この夏はまだ低調なようだ」とレポートに記されている。
トピック:GBTCのプレミアムが5月の暴落前のレベルまで上昇
グレースケール・ビットコイン投資信託(GBTC)は、スポット価格に対するプレミアム(保有するBTCの純資産価値に対するGBTCの基準価格)が5月以来の高さまで上昇。ビットコインの強気基調が伺える相場となっている。
GBTCは、ビットコインが4月に最高値から55%下落して以来、激しい投機対象になっている。そして7月のGBTCの大規模な売却解禁が、売り圧力になると指摘されている。この売却解禁がほとんど完了したことで、ビットコインの売り圧力が減少しているようだ。
今月は買いへの関心が増加しており、大企業がビットコインのエクスポージャーを増やしている。
トレーダー兼アナリストのニック・ヘルマン氏は、今回の変化について「もしBTCがこのレベルを維持し、グレースケールのプレミアムがプラスに反転すれば、ビットコインの火を激化させることになる」と述べている。
まとめ:人々の思い込みさえも、価格を動かす材料となりえる?
先週は仮想通貨全体が盛り上がりを見せ、久しぶりの強気相場を目の当たりにすることができた週であった。
クラーケンインテリジェンスの報道にもあるように、アマゾンのビットコイン導入に関する報道は、もしかしたら価格にそこまで影響を与えていないのかもしれない。しかし、「この件で相場はこう動くだろう」という人々の思い込みが価格を動かす要因にもなりえる。つまるところ、価格変動は人々の心理の動きによって決まる。今回の件はそのことを示した良い例だったのではないだろうか。