先週も依然として低価格が続いたビットコイン市場。今回の週報では、ビットコイン法定通貨に関する法案やハードウェアウォレットの開発、そしてイーロンマスク氏のツイートなどについての情報をピックアッップした。
先週のBTCチャート(5月31日~6月6日)
こちらが先週のビットコインチャートだ。先々週よりもさらに下落している。最高でも430万円ほどにしか到達していない。週末には約390万円で着地した。
トピック: イーロンマスク氏のネガティブツイートでまたもビットコイン下落
4日10時7分、イーロンマスク氏がネガティブツイートをして一時1,000ドル以上急落した。
最終的にビットコインは36.400ドルにまで下落し、過去24時間で6%の下落となった。
ツイートには「In The End」という、米人気ロックバンド「リンキンパーク」の代表曲の歌詞が一部引用されている。大切な人や恋人との別れが連想される曲だ。
「(努力を裏切られ、気持ちのすれ違いから)最後には何もかもどうでもよくなってしまう」という冷え切った関係性を表現していることや、ビットコインアイコンと割れたハートマークが愛情や信頼からの離反を意味することから、テスラの保有するビットコイン売却示唆を含め、市場に嫌気されたものと見られる。
トピック:エルサルバドル共和国でビットコインを法定通貨として認める法案が提出される
CNBCの報道によると、中南米に位置するエルサルバドル共和国のナジル・ブケレ大統領が、ビットコインを法定通貨として採用するための法案を議会に提出する方針であることが分かった。
法案は早ければ来週中に提出される見込みだ。現時点では議会や金融当局の承認が得られるかどうかなど、実現可否は定かではないが、同国の法律として可決・施行されることがあれば、ビットコインの法定通貨化は世界初の事例となる。
これに先駆けエルサルバドル政府は今年3月、ビットコインの国際送金サービスを提供するデジタルウォレット企業であるStrikeと提携。同国のモバイル決済アプリとして国内1位のダウンロード数を記録するなど、高い需要を示している。
ナジル大統領は、エルサルバドルのような経済に困窮する国々にとって、ビットコインの法定通貨化は革新的かつ透明性の高い「デジタル経済」へと移行するための大きな一歩だと考えている。
エルサルバドルでは約7割の人々が、銀行口座やクレジットカードを保有できていない。GDP(国内総生産)の約2割を国際送金が占めているが、到着までに数日を要し手数料も高額だ。このような状況下において、ビットコインおよびライトニングネットワークが導入されることで新しい経済基盤が確立することが予想される。
トピック:ジャック・ドーシー氏率いるスクエア社、ビットコインのハードウェアウォレット開発を検討中
Twitter創設者のジャック・ドーシー氏が率いる米決済企業スクエア(Square)が、ビットコインのハードウェアウォレットの開発を検討していることが明らかになった。
ハードウェアウォレットとは、インターネットの接続がない状態で仮想通貨を保管できるウォレットのこと。ハッキングや流出のリスクが少ないためセキュリティが高く、多額の資産を保管するのに向いている。
ドーシー氏は自身のTwitterで、ユーザーが秘密鍵を管理し、取引所などに預けず自身で安全にビットコインを保有できるソリューションをグローバルな市場に提供することが、スクエアにとって重要であると説明している。
スクエアは決済事業を行いながら、ビットコインの売買サービスも提供している。ロイター通信の報道によれば、米国のマイアミで開催中の大型カンファレンス「Bitcoin 2021」でもハードウェアウォレットの開発について語ったという。
まとめ:低調ななかに光明あり?
イーロンマスク氏のツイートに影響され、価格が下落する状況が続いている。しかし、承認されれば世界初となる「ビットコイン法定通貨化」の国が誕生する可能性も出てきた。また、スクエア社によるビットコインのハードウェアウォレット開発の検討もポジティブなニュースと言える。もちろん、これらのニュースは現段階では単に今後への期待を膨らませる”ビジョン”でしかない。しかし、具体的にプロジェクトが進みはじめてビットコインの実用性が高まっていけば、マスク氏の発言による市場のブレも小さくなっていくのではないだろうか。そして、価格が再び上昇に転じることも十分にあり得る。
どこでどのような動きが進んでいるのか、引き続き観察を続けていこう。