ここ最近低調気味だったビットコインは、先週さらに大きく下落した。今回は、下落要因であるイーロンマスク氏のツイートや、マイニングと再生可能エネルギーの関係性、ブロックチェーン追跡で犯罪者を突き止めた事例などを紹介する。
先週のBTCチャート(5月10日~5月16日)
こちらが先週のビットコインチャートだ。イーロンマスク氏の発言を受けて価格が続落している。また、アメリカの納税申告期限の締め切りが5月17日だったため、その前に利確へ動いた投資家たちの影響も考えられる。週末にかけて価格は下がる一方だった。
トピック: マスク氏のツイートにより一時500万円を下回る続落
ビットコイン価格は17日、一時500万円を下回った。前日比7%減、前週比24%減と、続落である。アルトコインも下落しており、仮想通貨全体が落ち込んだ相場となっている。
下落要因は他でもない、テスラ社CEOのイーロンマスク氏のTwitterでの発言だ。日本時間13日の7時6分、イーロンマスク氏は「テスラ社はビットコイン決済を停止する」とツイート。
その理由としては、ビットコインが環境に与える影響を考慮してのことだそうだ。ビットコインのマイニングやトランザクションで急増する、化石燃料の使用が現在よりも増えることを懸念しているという。
同時に、「マイニングシステムが持続可能なエネルギーを中心とした活動に移行すれば、トランザクションの利用を再開する」と説明している。
さらに17日未明、イーロンマスク氏はテスラ社が保有するビットコインを売却した・もしくは売却することをほのめかすようなツイートをしたとして話題になっている。(のちに売却していないと発言)
ここ最近の仮想通貨全体の盛り上がりは、テスラ社によるものが大部分を占めていたといっても過言ではない。今や市場は彼のツイートに振り回されている。
トピック:ビットコインのマイニング、再生可能エネルギーの活用が焦点に
ビットコインのマイニングやトランザクションによって消費されるエネルギーは、この数週間でますます注目を集める話題となっている。
CNBCは、SUKUのヨナタン・ラプチックCEOのインタビューを掲載。その中で彼は、ビットコインのマイニングと再生可能エネルギーの関係性について説明した。
彼は、「ビットコインのマイニングの75%は再生可能エネルギーを利用している」と主張。さらに、「マイナーはなるべく再生可能エネルギーを使用するようにしている」と語っている。
テスラ社CEOが環境に配慮して、ビットコイン決済を停止したニュースについて、マスク氏がこのことを考慮しなかったのは驚くべきことだと述べている。
マスク氏は、マイナーたちが環境に配慮しているということを知らなかったのだろうか。
トピック: ビットコインでヒットマンを雇った男、ブロックチェーン追跡により逮捕
少し話題は変わるが、米テネシー州で、妻を殺害しようとした男がヒットマンを雇い、支払いをビットコインで行ったことが判明した。この事件は、ブロックチェーン追跡により殺人の依頼主を特定し、逮捕に至った。
FBIのサイバータスクフォースがブロックチェーンを分析したところ、仮想通貨取引所コインベースのユーザーウォレットが使用されたことが分かったという。
コインベースはすぐにこのウォレットの持ち主や取引履歴などの情報をFBIに明かし、犯人の特定までがスピーディーに行われた。
一方ヒットマンは個人管理のウォレットを使用していたと考えられ、ヒットマンの身元までは突き止められていない。
最近では、殺人や誘拐に対する報酬をビットコインで支払う事例も多く、ブロックチェーン分析を利用して犯罪者の身元追跡に役立つ場合がある。
まとめ:先週1週間のビットコイン動き、今後の展望
先週はイーロンマスク氏のTwitterでの発言によってビットコインだけでなく仮想通貨全体の価格が下落した週であった。仮想通貨自体の歴史がまだまだ浅いため環境問題も含めて今後発展していくのではないだろうか。
そして、アメリカの納税申告とBTCの価格の関係も見逃せない。アメリカでは、通常1月に確定申告の受付が始まり4月15日が期限だが、今年は新型コロナ感染拡大の影響によって1ヶ月延長されて、5月17日が締め日であった。例年、この納税の開始と終わりのタイミングで仮想通貨の価格は下がる傾向があり、これは税金支払いのための売却が理由だと考えられている。
納税が終われば一時的に盛り返すと予想されるが、マスク氏の挙動を含めて価格に影響を与えそうな情報が飛び交っているため、予断を許さない状況だ。引き続き動向を見守っていきたい。