久しぶりに下落が続いた先週のビットコイン市場。今回は、下落の要因やドミナンス低下、テネシー州での財政計画など、ビットコインに関するニュースを詳しく取り上げている。
先週のBTCチャート(4月19日~4月25日)
こちらが先週のビットコインチャートだ。史上最高値を更新した先々週とは打って変わって、価格下落が続いている。23日には大幅に下落し、518万円を記録した。(しかし、本稿執筆時点の4月26日には大きく回復している)
トピック:BTC 大幅に下落
ビットコインは23日、大幅に価格が下落。15%の下落を記録し、3月以降はじめて5万ドルを下回る弱気相場となった。
下落要因には以下の材料が考えられる。
先物市場で大量清算
23日には、24時間の間に40億ドル以上のポジションが清算されたことが分かっている。データ分析プラットフォームBybitによれば、ビットコイン市場では現在ショートポジションが約54%と、ショートの割合の方が多い。
これは1日で数十億ドル以上のロングポジションが清算されたことを示している。
キムチプレミアムが0%
韓国の個人投資家の熱狂を意味する「キムチプレミアム」が0%にまで低下している。
22日、韓国金融委員会のウン・ソンス氏は「仮想通貨は金融資産ではない。政府はそれを保護しない」とネガティブな発言をした。これを受け、韓国の仮想通貨市場で大きな売りにつながり、キムチプレミアムが崩壊した可能性が大きいと見られている。
中小サイズのクジラによる売却
主要取引所でのビットコイン流入を追跡するMaterial Indicatorが中小サイズのクジラによる売却があると指摘。合わせて、10万ドル~100万ドル相当のビットコインの売り圧力があったという。これがビットコインの短期的な値動きに影響したと見られる。
バイデン税制への懸念
ビットコインの価格下落のタイミングは、バイデン大統領が富裕層に対して課税強化案を発表したタイミングと一致していた。
これはアメリカの富裕層に対するキャピタルゲイン税を最大43.4まで引き上げるという計画。これを受けアメリカの株式市場は下落している。
このほか、ビットコインのマイニングの主要な拠点の1つである中国の新疆ウイグル自治区で起きた停電、コインベースのNASDAQ上場によるご祝儀相場がひと段落ついたこと、またコインベースのCEOを含む役員、投資家が上場初日に合計50億ドル(日本円で約5400億円)の株を売却したことなども今回の下落を招いた要因と考えられている。
トピック: ビットコインのドミナンスが50%に
CoinMarketCapのデータによると、ビットコインのドミナンス(仮想通貨の時価総額全体に占めるビットコインのシェア)は50.1%であった。
ビットコインは3年以上、ドミナンス50%を維持してきたが、それが破られる寸前まできている。ビットコインのドミナンスが半数以下になると、アルトコインの値動きが活発になる「アルトシーズン」が起こる可能性が高い。
過去のケースでは、ビットコインのドミナンスが50%を下回るとイーサリアムが相場をけん引する展開だった。
一方で、トレーダーはビットコイン以外の他の市場に目を向けているとの指摘もある。証券会社TradeStation Groupのデビット・ラッセル氏によれば、これは弱気ではなく、仮想通貨全体に対する自信の現れだという。
トピック:米テネシー州でビットコインの財政計画導入を計画
米テネシー州で、市の財政計画にビットコインを導入しようとしていることが明らかになった。
テネシー州のジャクソン市長は、これまでのツイートで仮想通貨を強く支持している。21日には、「ビットコインをマイニングして、市のバランスシートに計上することを真剣に検討している」とツイート。
実際に、ジャクソン市長はブロックチェーン作業部会を設けると宣言している。それに加えて、市職員に提供されている繰越給与による退職貯蓄制度に、ビットコイン返還オプションを追加し、多様化を模索しているという。
まとめ:1週間の動き、長期トレンド交えた今後の展望
最近の強気相場から逆転し、弱気相場となったビットコイン。要因は記事でも取り上げた通りいくつか挙げられるが、一時的な調整だとの見方もある。アルトコイン含む仮想通貨市場で見れば、まだまだ伸びしろがあるのではないだろうか。今後も観察を続けていきたい。(事実、4月26日時点で570万円〜580万円まで回復しているため、何か特に注目すべき情報があればこの週報以外でもご紹介します)