YouTubeがNFT事業へ参入することを示唆したロードマップが公開され、大きな話題となった。
NFTブームが巻き起こって以降、このように既存の大手SNSサービスがNFT事業に参入する例は後を絶たない。今回はそうした事例を紹介しながら、これらの取り組みがNFT市場を一般に広げる大きな力となるのかという点に着目して考察していく。
YouTube2022年ロードマップ公開でNFT参入を示唆
大手動画配信サービスYouTubeは10日、公式ブログで2022年のロードマップを公開した。世界中で利用されるYouTubeで活動するクリエイターは、年間1万ドル以上稼ぐ層が昨年比40%を超えるほど大きな成長を見せている。
YouTubeは今後もサービスを拡大する方針の中で、クリエイターたちがNFTを含む新たな技術を活用できるようにプラットフォームを更新していくと発表。ロードマップ概要は動画でも確認できる。
現在YouTubeを通してクリエイターたちが利用できる収益化の手段は全部で10種類ある。
例えば、スーパーチャット(投げ銭機能)やメンバーシップ登録などだ。NFTはこのカテゴリに新しく加わる可能性が大きく、様々な視聴者を持つYouTubeを通してNFTに興味を持つ人が増えそうだ。
大手サービスのNFT参入事例
昨年から話題沸騰のNFT、様々な分野で事業に参入する企業も増えている。
特にNFTを直接売買できるプラットフォームは続々と起ち上がり、競争は激化する一方だ。このような新たなプラットフォームは誕生のタイミングで大きな話題性を持つが、競争の中で淘汰されていき最終的に利用者数が多いところや独自性が強いものが残っていく。
そのような中で既に多くのユーザーを抱えている既存のサービスがNFT事業に参入することは、新たなプラットフォームを構築するよりも多くのユーザーを得やすい環境だといえる。
今回紹介したYouTubeもその内の一つだ。
他にも大手サービスがNFT参入している例はたくさんある。大手ソーシャルメディアプラットフォームのTikTokは、トップクリエイターたちのコンテンツを利用してNFT作品を展開している。
また、SNSサービスTwitterはビットコインによる投げ銭機能を搭載し、プロフィール画像にNFTを利用できるようにした。NFT関連機能は有料版「Blue」に登録する必要があり、さらにiOSのみでの利用に限られるという。
このように大手SNSのNFT事業参入は相次いでおり、これまでNFTに縁のなかった層へもその存在を知らしめるようになってきている。
NFT市場は新たなユーザーを獲得とルール整備をすることが重要
仮想通貨を例にとって考えてみるとわかりやすいが、国内では仮想通貨に対して一般人もよく知るというものではない。
つまり「一般化」が遅れているのである。仮想通貨を利用したり投資したりするユーザーは限られているとことだ。
NFTも大きなブームは起こってこそいるが、それは一部の界隈に限っての話でまだ「一般化」はされていない。
逆に考えれば「一般化」されたら、その市場は将来も見通すことができるほど大きなものとなっているはずだ。NFTが国内で「一般化」されるためには、今回紹介したような大手サービスが事業に参入することで普通に生活していたら認知するはずのない層へ、ある種の強制的な認知を促すことが必要になってくる。
YouTubeにおいては、特にクリエイターがNFTをどう利用していくかが要となってくる。また、仮想通貨が「一般化」に及んでいない理由の一つに「マネー・ロンダリング」などの温床になる可能性やリスクがある。
NFTも同様で、こうした部分でユーザーが不利益を被らないような仕組みやルールづくりも求められる。そもそも国内では法整備が十分ではないのだ。
多くの人が安全に利用できると知ってからがNFT市場の「一般化」が始まるのではないだろうか。ユーザーの獲得とルールの整備が両方進んでいくことが理想の「一般化」につながるだろう。